咽喉頭病変を生じた菌状息肉症の1例

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  • A case of mycosis fungoides with pharyngeal and laryngeal lesions

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抄録

<p>44歳,男性。2008年頃に胸部に瘙痒を伴う紅斑が出現し,2011年に菌状息肉症(扁平浸潤期)と診断された。ステロイド外用,紫外線治療,エトレチナート内服で3年ほどは増悪なく経過していたが,2015年頃から頭部や肛門部に腫瘤を形成した。ベキサロテンやプレドニゾロン内服,モガムリズマブ点滴,放射線治療を行ったが,その後も腫瘤は増大し,2016年に新たに鼠径部や腋窩に腫瘤を形成した。右鼠径部の紅斑から生検を行い,腫瘍細胞の約30%がCD30陽性の大型細胞であった。ブレンツキシマブ・ベドチン点滴を3回施行し,腫瘤はやや縮小した。数ヵ月後,咽喉頭に腫瘤が出現し,生検により菌状息肉症の浸潤と診断した。ゲムシタビン点滴後も腫瘤は増大し,咽喉頭部に多発した易出血性の腫瘤により気道狭窄を来したため入院した。著明な血小板減少,脾腫,肺の結節影や腹腔内リンパ節腫大を認めた。ステロイドパルス療法により腫瘤の増大は止まったが,血小板輸血にも反応なく,徐々に全身状態が悪化し,咽喉頭病変が出現してから3ヵ月で死亡した。病理解剖を行ったところ,腫瘍の広範な浸潤に伴って全身状態が悪化し,肺炎や敗血症を来し呼吸不全が進行したことが直接死因と考えられた。また,多数の内臓にリンパ腫細胞が浸潤していた。咽喉頭への浸潤を認め病理解剖を行った貴重な1例を,文献的考察を加えて報告する。</p>

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