黒液粘度低下剤の開発

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タイトル別名
  • Development of Black Liquor Viscosity Control Chemical
  • コクエキ ネンド テイゲザイ ノ カイハツ

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抄録

<p>クラフトパルプ製造工程においては,パルプ1トンあたり7~10トンもの黒液が生成される。この黒液は,高温真空下(エバポレーター)において水分を気化させ自然する濃度まで(固形分濃度75%前後)濃縮し,回収ボイラーで燃焼されるが,その際生じる燃焼エネルギー(約13.2MJ/kg)は回収し動力などに利用される。一方,灰化したアルカリ薬品も回収し再利用されるため,燃焼前工程でいかに固形分濃度を上昇させ,効率よくエネルギーと薬品が回収できるかはパルプの生産性やコスト面に大きな影響を与える。近年では,機械技術の発展により固形分濃度を80%以上まで上昇させることは可能となってきた。黒液を高濃度で処理することが可能となれば,生産性やエネルギー効率の向上だけでなくSO2排出濃度の低減など,各分野で様々な利点を有する事が考えられるため,1%でも高濃度での処理が求められているが,設備投資など様々な問題から固形分濃度を80%で操業している工場は少ないのが現状である。</p><p>黒液は,含水量によってその状態を大きく変化させる。固形分濃度90%以上では粉体或いは薄片状,80~90%程度では高い粘性を示すなど,取り扱いが非常に困難な物質である。これらの特性より,黒液の高濃縮処理の実現は難しく,現状として固形分濃度75~80%程度を上限とした処理が行われている。</p><p>これらの課題を解決するため,我々は高濃度黒液の流動性に着目し,この流動性を改善する薬剤の検討を行い,開発薬品を添加することで黒液の粘度を低下(流動性を向上)させることを明らかにしたので報告する。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 73 (4), 297-300, 2019

    紙パルプ技術協会

参考文献 (3)*注記

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