-心毒性-

書誌事項

タイトル別名
  • - Cardiotoxicity -

説明

<p> 薬剤誘発性の心毒性として,まず代表的なものとして挙げられるものは,QT延長に基づく重篤な心室性不整脈TdP(Torsade de pointes)であろう。1990年代からTdP及び突然死が原因で多くの薬剤が市場から撤退した。この悲劇を繰り返さないためにICH S7B及びE14が制定された。それ以降,TdPの報告は激減し,TdP/突然死が原因で市場から撤退した薬剤は存在しない。その理由として,主たる原因分子であるhERGチャネルに対するスクリーニングが創薬早期ステージから実施されるようになったこと,また大動物を用いたテレメトリー試験や各種フォローアップ試験により総合的に評価してきたことが大きい。さらには近年,ヒト幹細胞由来心筋細胞が利用可能となり,CiPAやJiCSAに代表されるように,ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いた薬剤性催不整脈リスク予測へのさらなる取り組みが続けられている。また,大動物を用いた薬剤性QTへの評価に関してはグローバルな規模のコンソーシアム活動が継続されている。</p><p> 抗がん剤の安全性薬理学的評価はICH S9に記載されているように,基本的にはICH S7Aに則った評価がなされてきた。近年,分子標的薬の開発などにより,がん治療が進歩する一方でサバイバーの方々の中長期的な心毒性が表出化し,これを解決するためにCardio-Oncologyという学際領域が生まれた。臨床研究に基づいたエビデンスの蓄積と並行して非臨床研究が積極的に取り組まれているものの,現時点ではまだ新薬候補品の心毒性が予測可能になったとは言えない状況である。</p><p> 本講演では,ICH S7B/E14のガイドラインに関する最新動向,抗がん剤の心毒性を含む薬剤誘発性心毒性予測へのチャレンジとして最新の評価系ならびにバイオマーカー研究等について紹介するとともに,現状の課題についても考察したい。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763129371264
  • NII論文ID
    130007677580
  • DOI
    10.14869/toxpt.46.1.0_s25-4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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