真名表記が可能にしたもの

書誌事項

タイトル別名
  • Chinese Literacy in Medieval Times: The Sophisticated Style of <i>Katsuragawa-jizō-ki</i>
  • 真名表記が可能にしたもの : 『桂川地蔵記』の考察を起点として
  • マナ ヒョウキ ガ カノウ ニ シタ モノ : 『 カツラガワ ジゾウキ 』 ノ コウサツ オ キテン ト シテ
  • ――『桂川地蔵記』の考察を起点として――

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抄録

<p>応永二十三年(一四一六)七月、桂川のほとりに、地蔵菩薩の石像が忽然と現れたという。その地蔵菩薩像の「示現」が巻き起こした祝祭の渦を描き出した『桂川地蔵記』は顧みられることの稀な書であるが、その記述には、室町時代の真名をめぐるリテラシーとレトリックの水準の高さが現れている。この真名表記テキストは、類書、往来物としての本質を生かし、名詞の列叙、用言の列叙を駆使して、世界の豊かさ、活力と秩序を表象している。そこには、吏の漢学から類書・往来物の漢学へと展開した数百年にわたる知の伝統が息づいている。この広範に流通した知の系脈の内実と意義を捉えることは、古代から中世に至る日本の表現史、文化史、学問史の帰趨を明らかにする上で不可欠である。</p>

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 63 (7), 45-57, 2014-07-10

    日本文学協会

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