葉アポプラスト(細胞壁)に存在する抗酸化性アスコルビン酸はオゾンをどこまで解毒できるのか?―(I) 化学反応を伴ったガス拡散移動に基づいたシミュレーションモデル―

DOI
  • 野内 勇
    元農業環境技術研究所(現名称:農業・食品産業技術総合研究機構,農業環境変動研究センター) 元東京大学大学院農学生命科学研究科
  • 青木 一幸
    元東京都環境科学研究所(現名称:公益法人東京都環境公社東京都環境科学研究所)
  • 小林 和彦
    東京大学大学院農学生命科学研究科 茨城大学農学部

書誌事項

タイトル別名
  • How Much Can Antioxidative Ascorbic Acid Located in the Leaf Apoplast (Cell Wall) Detoxify Ozone?—(I) A Simulation Model Based on Gas Diffusion Transfer Accompanied with Chemical Reaction—

抄録

<p>地表付近のオゾン濃度は世界中で農作物と森林樹木にとって最も大きな脅威である。オゾンは気孔を通して植物葉に吸収され、細胞壁の溶液に溶け、細胞膜と細胞質基質に到達し、そこで様々な細胞組成物を酸化し毒性を発揮する。細胞壁(アポプラストともいう)の溶液は抗酸化性のアスコルビン酸(電荷を持たない中性のアスコルビン酸とアスコルビン酸イオンの両者の集合)を含有し、オゾンの酸化的攻撃に対する最初の防御バリヤーとして作動する。Plöchl et al. (Planta, 210, 454–467 (2000))は、細胞壁に存在するアスコルビン酸イオン(ASC)によるオゾン解毒の数学モデルを提案した。彼らのモデルは、(1) 大気から細胞質基質までに至る反応を伴った拡散移動、(2)細胞質基質内におけるデヒドロアスコルビン酸(オゾンとASCとの反応で生じたアスコルビン酸酸化物)のASCの再生産とそのアポプラストへの補充、(3) 細胞器官間でのpHに依存したASCの濃度分布、というものである。著者らはPlöchl et al. 論文の数式を詳細に検討し、原文中のいくつかの誤りを修正するとともに、数式の導き方を分かりやすく書き直した。</p>

収録刊行物

  • 大気環境学会誌

    大気環境学会誌 54 (3), 113-127, 2019-05-10

    公益社団法人 大気環境学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763130849664
  • NII論文ID
    130007644215
  • DOI
    10.11298/taiki.54.113
  • ISSN
    21854335
    13414178
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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