ePTFE 人工血管による腹部大動脈置換術後の巨大seroma

この論文をさがす

説明

ePTFE 人工血管置換術後のseroma 形成は決して希ではないが、腹部大動脈置換術後に巨大に成長し、縮小術後もなお成長し続けるseroma を経験した。症例は76 歳、女性。2002 年2 月腹部大動脈瘤(最大横径10.5cm)に対してePTFE 人工血管を用いたY graft 置換術を施行した。人工血管は遺残瘤壁で覆った。術後のCT では人工血管周囲に液体貯留を認め、次第に瘤化していった。2003 年4 月16 日、イレウス症状が出現して入院した。CT でseroma は最大横径9cm に成長。Seromaによる圧迫が原因の腸閉塞を疑い開腹術をおこなったが、小腸の癒着性イレウスでありseroma とは無関係であった。seroma 壁の病理組織診断では硬化性変性を伴った動脈壁であった。人工血管を被覆した動脈壁が伸展したものと思われた。手術の際に、seroma 瘤壁を可及的に切除し内容物を除去した。しかし、術後4 年を経てseroma は横径6.5cm に拡大しており、遺残瘤壁が再び伸展している。seroma 再発防止には異種人工血管での置換が基本ではあるが、壁の薄い弾力に富んだ大動脈瘤では瘤壁を完全に切除することが望ましいと考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ