日本口腔科学会の役割・将来展望
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- 丹沢 秀樹
- 千葉大学大学院医学研究所
抄録
口腔には多くの器官と機能があり,細分化された多彩な学問・医療技術が発展してきました。たとえ,免許・資格が医科と歯科に分かれ,学会が日本医学会と日本歯科医学会の分科会に分かれていても,個別の技術や知識だけでなく,口腔各分野の医療知識・技術を総合的に理解し,互いに「Respect」を持った連携を取ることが,「口腔科」担当者には必要です。本学会は日本医学会が100年以上前から「口腔科」として認定した第31分科会であり,「口腔の専門科」です。口腔領域全て,口腔と全身,歯科医療と医科医療との連携など,全ての学問・医療分野をカバーするための事業を計画・実行していきます。<br>この視点から,本講演では,現在の社会的変化に伴い,口腔科・口腔科学に対する社会的要請・使命がどのようなものであるかを,財政諮問会議,厚生労働省などの資料,さらには平成30年診療報酬改定方針などでお示しいたします。歯科医療の変化,さらに,医療,介護,包括的地域医療全体の中で,口腔の専門家が何をできるのか,何を期待されているのかを考察し,その上で,医療界における口腔の専門学会としての方向性を皆様とともに考察いたします。<br>また,現在,本学会が直面している課題について,特に急務となっている学会誌改革について考察いたします。現在,本学会は和文誌(日本口腔科学会誌),英文誌(Oral Science international。以下OSI),和文単行本(Oral Science in Japan。以下OSJ)を出版しています。和文誌では,多様な分野の専門家・権威による「依頼総説」を掲載しており,会員はいつでもインターネット上で閲覧し,ダウンロードして使用できるようになっています。是非,学生や若手人材の教育にもご活用下さい。また,すぐれた論文は英文に翻訳して,OSI誌に掲載させていただく方針であり,英文化や英文校正などの経費を支援する方針です。OSIはESCI(Emerging Source Citation Index)に入り,IF取得もPubMed収載も間近であると出版社から聞いていましたが,現在,目処が立っていません。論文数が少ないのが一番の原因です。出版社をElsevierからWileyに変更し,電子ジャーナルとして,OSI専門担当理事を3名お願いして仕切り直しての再出発といたしました。和文誌の特別企画記事や優れた原著などを英文翻訳して掲載したり(再出版),世界的な専門家・権威にreviewの執筆を依頼したりする他,学術委員会の調査研究をまとめて英文論文として掲載する方針です。ぜひ,皆様の投稿をお願いします。
収録刊行物
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- 日本口腔科学会雑誌
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日本口腔科学会雑誌 68 (2), 63-63, 2019
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763133044864
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- NII論文ID
- 130007688263
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- ISSN
- 21850461
- 00290297
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可