化膿性脊椎炎を合併した<i>Aerococcus urinae</i>による感染性心内膜炎の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of <i>Aerococcus urinae</i> infective endocarditis with vertebral osteomyelitis

この論文をさがす

説明

<p> 症例は,前立腺癌術後の尿道狭窄のため尿道カテーテルが留置された66歳の男性.発熱と腰痛を伴う多発脳梗塞のため入院となった.MRIで化膿性脊椎炎の合併が判明し,血液培養からはグラム陽性球菌であるAerococcus urinaeが同定された.感受性を参考に複数の抗菌薬が使用されたが,第34病日にうっ血性心不全を発症した.経胸壁心エコーでは僧帽弁に疣腫を認め,弁破壊による重度の僧帽弁逆流を伴っていた.感染性心内膜炎による多発脳梗塞,化膿性脊椎炎の合併と診断し手術を行った.僧帽弁置換術により得られた病理標本では弁尖上の疣腫にコロニー状のグラム陽性球菌を認め,Aerococcus urinae感染性心内膜炎に矛盾しない所見であった.術後はペニシリン系抗菌薬の投与を継続し,炎症反応が陰性化したため第84病日に軽快退院した.Aerococcus urinaeは尿路感染症の稀な起炎菌として知られている.しかし高齢者や腎泌尿器疾患を持つ患者では,血流感染を背景としてAerococcus urinaeによる感染性心内膜炎や化膿性脊椎炎などの重篤な全身性感染症を引き起こすため注意が必要である.また,細菌学的特徴により同定困難例や誤同定の可能性があり,その特徴を理解して細菌検査結果を解釈する必要がある.Aerococcus urinae感染性心内膜炎の治療はペニシリン系抗菌薬が第一選択であり,予後も比較的良好とされるため,診断や治療が遅れないようにすべきである.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 50 (7), 784-791, 2018-07-15

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ