日本の予防理学療法領域が行うべき研究課題とその展望

説明

<p> 近年,理学療法の領域に限らず,疾病発症や障害発生の予防を目的とした取組の重要性はより一層に高まっており,社会ニーズに対応した研究課題としても重要な位置づけとなっている。とりわけ,予防理学療法領域においては,疾患の領域を問わずに発症予防のほか,重度化予防,さらには再発予防に至るまで,一連で包括的な視野が必要であり,すべてのライフステージが対象となり得るため,予防理学療法領域としての研究対象も幅広い。</p><p> 「予防」を達成するための戦略には,大きくは二つの重要な視点が求められるものと考える。ひとつは,目指すべき予防のターゲットにおける危険因子をいかに低減していくか,である。もうひとつは,保護因子をいかに強めていくかである。そのため,予防理学療法領域で行うべき課題として,予防すべき事象の危険因子と保護因子をどれだけ同定できるかが大切であろう。次には,その危険因子を低減し,保護因子を強化するための効果的な方法を明らかにすることであろう。さらには,そのことによって,まさに「予防」を達成できたかを示すことが最終的な目標となるであろう。これらの課題を達成するためには,研究課題と同時に,どのようなアウトカムを設定するかが非常に重要となる。また,その「予防」が達成されることの意義を明確にすることも重要であり,かつ,その意義が社会に与える影響を考慮することで,予防理学療法に関わる研究の社会還元価値がさらに高まるものと考える。</p><p> 本講演では,これまでに予防理学療法に関わるテーマで報告してきた研究成果の一部を紹介するとともに,これまでの研究活動を通して感じる今後の課題や展望についての意見を提示し,ディスカッションの基となる話題を提供したいと考える。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), C-27-C-27, 2019

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763134093696
  • NII論文ID
    130007692729
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.c-27
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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