医療系大学生における運動器障害の実態調査

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  • -2年間の調査結果-

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 近年,学童期から青年期における運動不足による体力の低下・運動能力の低下や,スポーツなどによるオーバーユースの二極化が深刻な問題となっていると報告されている.運動器の10年日本協会が行った調査によると,児童生徒の運動器疾患・障害の発生頻度が高く,対策の必要性が示唆された.文部科学省は,平成26年に学校保健安全法の一部改正により,運動器等に関する検査を必須項目に追加し,28年4月より小学生から高校生全学年を対象とした運動器健診が実施された.しかし,大学生は義務化されていない.このため大学生の運動器障害の実態を検討した.</p><p>【方法】</p><p> 平成29年度および30年度に本学の体育科目を履修した学生1,016名(29年度458名,30年度558名)を対象とした.対象者には調査前に趣旨を説明し,同意を得て行った.運動器健診の項目を参考に作成したセルフチェック項目5つの質問紙であり,内容は「(手,足,腰などの部位に)関節を動かしたときに痛みはありますか」,「バンザイをしたときに,両腕が耳につきますか」,「前屈をして指が床につきますか」,「(足のうら全部床につけて,完全に)しゃがみこみはできますか」,「(両足ともに)片足立ちがフラフラしないで5秒以上できますか」である.集合調査法にて対象者に質問紙とマークシートを配布し,それぞれの質問に対してその場で動作を行ってもらい,該当する選択肢に1つだけマークさせ,それぞれの該当率を年度別に算出した.マークシートに記入漏れのある場合と重複回答がある場合を不備と扱い分析対象から除外した.本研究は国際医療福祉大学倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号:17-Io-96).</p><p>【結果】</p><p> 記載不備があったものを除いた868名(H29年度434名,H30年度434名)のデータを分析対象とした.回答者の性別内訳はH29年度(男性150名,女性292名),H30年度(男性142名,女性292名)であった.年度別の該当率は「関節の痛み」がH29年度14.9%,H30年度12.9%,「ばんざい不可」がH29年度5.1%,H30年度4.8%,「前屈不可」がH29年度30.9%,H30 年度27.4%,「しゃがみこみ不可」がH29年度17.3%,H30年度24.4%,「片足立ち不可」がH29年度3.7%,H30年度4.8%であった.</p><p>【結論(考察も含む)】</p><p> 運動器障害の実態は両年度とも同等であったが,運動器に問題のある学生が存在することが明らかとなった.特に柔軟性については,両年度とも全体の3割の学生が前屈しても指が床につかなかった.今後も継続して調査し,実態を明らかにするとともに,理学療法士として障害予防の対策を講じていく必要がある.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は国際医療福祉大学倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号:17-Io-96).対象者には調査前に趣旨を説明し,同意を得て行った.</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-241_1-H2-241_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763134191232
  • NII論文ID
    130007693880
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-241_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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