認知症患者の急性心不全増悪に対する早期リハビリテーション

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抄録

<p>【背景および目的】独居生活をしている慢性心不全患者が認知症を契機に内服コンプライアンスが悪化し心不全増悪を認め入院。早期より低負荷でのリハビリテーションを開始したが心不全治療を妨げず速やかに改善し、スムーズに独居生活復帰した1症例について報告する。</p><p> </p><p>【方法(または症例)】慢性心不全にて外来通院中の90歳台女性。入院時所見では血圧138/85mmHg、心拍数80回/分、体重44.4㎏、下肢浮腫認めず。呼吸苦あり酸素療法開始。X-Pにて両側胸水貯留。血液検査にてBNP2230PG/ML。ADLは歩行可能だが安静度車椅子。HDS-R 14点と中等度認知症。病状悪化は内服コンプライアンスの低下が原因と判断しラシックスを増量。運動負荷量はバイタルや自覚症状等を踏まえ設定。第1病日~3病日までBed上介入。呼吸状態安定し酸素療法中止。第4病日より立位、第6病日より歩行訓練開始。翌日の増悪症状認めず運動療法開始と共に病棟内安静度を歩行へ。その後も歩行距離延長、階段昇降訓練を開始。ADL目標達成しラシックスを減量後、在宅生活レベルの運動負荷量にて増悪症状の出現有無を評価し増悪症状なし。第14病日にて退院可能となり退院カンファレンス実施。医師より病状説明と多職種で今後の介護保険サービスについて検討し第22病日に独居生活へ退院。</p><p> </p><p>【結果】早期に退院後の生活を把握することで退院後のADLゴールを設定できた。</p><p>又、早期より低負荷での介入は心不全治療の阻害及び認知症を悪化させることなく早期退院に向け有効である。さらに認知症による内服コンプライアンス低下に対しては内服薬が一包化されていないことが原因の1つであり一包化の対策を行った。</p><p> </p><p>【考察および結論】近年、心不全患者は急増し合併症に認知症がある症例が多くリハビリテーションの継続困難や退院後の生活環境設定に難渋することがある。</p><p>そのため病状だけではなくその患者の生活背景を把握することや多職種で介護保険サービスの検討が重要である。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本症例発表にあたり対象者に目的、方法、活用範囲、個人情報保護について説明し同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-88_1-A-88_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763134454144
  • NII論文ID
    130007692540
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-88_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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