勤労者世代を対象とした予防領域での他職種共同参画の模索と将来展望

DOI
  • 赤津 順一
    一般財団法人 日本予防医学協会附属診療所ウエルビーイング毛利

抄録

<p> 産業保健活動の目的は,①業務に起因する健康障害を予防し,②仕事と労働を調和させ,働く人の健康度を最高度に維持し,③安全と健康に良い働き易く生産性の高い職場づくりに寄与すること,と要約することができる。産業保健活動は,労働安全衛生法では事業者の責務として実施することとなっているが,事業者が対応出来る知識や経験を有することは少なく,産業保健専門職が事業者の義務の実行を代行・支援している。そのため,産業保健専門職は,医療知識に加えて,企業活動の意味,事業者の責任と立場,職場における労働者の役割等について理解しておく必要がある。また,職場で行われる産業保健活動は,労働者本人のみならず事業主や職場活動全体に対するものであり,医療機関で患者個人に対して行う臨床医療とは,異なる視点からの対応が求められることを知っておきたい。</p><p> 労働衛生の基本は,健康管理,作業管理,作業環境管理の3 管理であるが,作業や動作への対応である作業管理の重要性が見直されている。たとえば,休業4 日以上の労働災害では,災害性腰痛が全体の64% と最多であり,事故の型別でも転倒,墜落・転落・動作の反動や無理な動作等,動作に起因する労働災害が多発している。また,働くことのできる高齢者を創ることが期待される高齢化社会では,動作機能や体力を評価し維持向上させることと,機能低下を補完する作業改善を行い働きやすい職場を作ることが必要で,作業管理の視点を包含するエイジマネジメントが重要と考えられている。</p><p> 動作の専門家である理学療法士には,動作の視点から働き方や職場の見直しへの関与が求められる。職場に出向き,作業を診て,労働者の話を聴いて対応できる理学療法士が増えることを期待したい。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), C-25-C-25, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763134470144
  • NII論文ID
    130007692728
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.c-25
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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