1.5m歩行時間計測の臨床的有用性の検討

DOI
  • 平山 雅教
    北海道総合在宅ケア事業団 釧路地域訪問看護ステーション
  • 表 大志
    株式会社健康研究所 訪問看護ステーションつばさ デイサービスセンターつばさ
  • 村上 亨
    株式会社健康研究所 訪問看護ステーションつばさ デイサービスセンターつばさ
  • 伊藤 俊一
    北海道千歳リハビリテーション大学

書誌事項

タイトル別名
  • ~計測方法および再現性の検討~

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p> 高齢者の転機や虚弱高齢者(フレイル)には、歩行速度評価の重要性が言われている。従来,臨床場面における一般的な歩行評価として,10m歩行を用いることが多いが、我が国の在宅では実施困難な場合が多い.また先行研究において,1.5m歩行測定の有用性が報告されているが,測定方法の詳細な検討はない.そこで,本研究の目的は,在宅で実施可能とされる1.5m歩行評価の妥当性を検討することである.</p><p>【方法】</p><p> 対象者は,デイサービスに通う高齢者20名(平均83歳)とした.</p><p> 測定項目は,10m歩行(10m)・1.5m歩行(1.5m)とし各々2回ずつ歩行時間を測定した.なお,測定にはストップウォッチ(STW)とスマートフォンの動画(VD)を用い,動画解析にWindowsムービーメーカーを使用した.検討項目は,各測定の検者内再現性と検者間再現性,それぞれの最小可検変化量,1.5mにおけるカットオフ値について検討した.追加検討として,STWの測定において,検者に介護士2名も加えて同様に検討した.</p><p> 統計解析には,Wilcoxon検定,Spearmanの順位相関係数,Bland‐Altman検定,ROC曲線を用い有意水準5%未満とした.</p><p>【結果】</p><p> VD解析の検者内再現性(1.1)は,10m:0.99,1.5m:0.97であった.1回目‐2回目の検者内再現性(1.1)は,STW10m:0.94,VD10m:0.94,STW1.5m:0.94,VD1.5m:0.88であった.検者間でのVD解析の再現性(2.1)は,10m:0.99,1.5m:0.94であった.また各測定項目で,STWとVDの測定間の有意差は認めなかった.1.5mと各々の相関関係は, STW10mでr=0.84,VD10mでr=0.85であった(P<0.01).Bland‐Altman検定では,最小可検変化量がSTW1.5m:0.43秒,VD1.5m:0.57秒であった.10m10秒未満での群分けにおいてROC曲線では,カットオフ値1.75秒(AUC:0.88 感度:0.81 特異度:0.80)であった.</p><p> 介護士2名によるSTW測定では,検者内再現性(1.1)は1人目10m:0.92,1.5m:0.93,2人目10m:0.95,1.5m:0.96であった.検者間再現性(2.1)は10m:0.98,1.5m:0.72であった.また介護士2名における測定値の比較では,STW10mでは有意差を示さなかったが、STW1.5mでは有意差を認めた.(P<0.05).さらに,D研究の結果,ICC(2.k)>0.9はk=3.5であった.</p><p>【結論】</p><p> 本研究の結果から,高齢者における1.5m歩行評価は,最小可検変化量に差がないことからSTWによる評価で問題なく,検者内・検者間ともに高い再現性を示す臨床上有用な評価法であると考えられた.しかし,1.5mのSTW計測は検者の評価技量も影響する可能性あることが示された.また,高齢者における1.5m歩行速度評価では,歩行速度別における検討の有用性も示唆された.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> 対象者には本研究の趣旨および目的を高騰と書面にて説明し,書面にて同意を得た.なお,本研究はヘルシンキ宣言を遵守して行った.また株式会社健康研究所にて倫理委員会の承認を得た(承認番号2018002).</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), C-78_2-C-78_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763134476032
  • NII論文ID
    130007692782
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.c-78_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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