認知行動療法的介入が有効であった心因性難聴の事例

書誌事項

タイトル別名
  • SUCCESSFUL COGNITIVE BEHAVIORAL INTERVENTION IN A CASE OF PSYCHOGENIC HEARING LOSS
  • 症例研究 認知行動療法的介入が有効であった心因性難聴の事例
  • ショウレイ ケンキュウ ニンチ コウドウ リョウホウテキ カイニュウ ガ ユウコウ デ アッタ シンインセイ ナンチョウ ノ ジレイ

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抄録

<p>心因性難聴に対する認知行動療法的介入の報告は少ない。本報告では,認知行動療法的介入が心因性難聴の改善にどのように寄与したかを検討することを目的とする。</p><p>患者は10代後半の男性。出生発育に異常を指摘されたことは無い。中学校入学頃より難聴が目立つようになった。高校入学後,家庭と学校の両方で自発的な発語が減少していった。その後耳鼻科を受診し,心因性難聴と診断された。患者の難聴は,音は聞こえるが途中でことばがぼやけて何を言っているか分からなくなることであり,初対面で不安・緊張が喚起され難聴になる場合と会話の最中に不安・緊張から難聴が生じる場合の2つの状況が認められた。そこで緊張場面からの回避を防ぎ,難聴時の困惑表情の代替行動として聞き返しを強化することとした。認知行動療法的介入の結果,聞こえなかったらどうしようという認知が,分からなくても聞き返せばいいんだという適応的な認知に変容したことにより,緊張場面に対する予期不安が減少し,緊張場面での聞き返しが増加した。それに伴って,主観的な聞こえの改善とともに友人と遊びに出かけるなどの社会的活動が増加した。</p><p>本事例より,不安・緊張に伴い難聴が生じている場合には,認知行動療法的介入が有効である可能性が示唆された。</p>

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