医療法42条施設による生活習慣病重症化予防の取り組み

DOI
  • 佐野 博
    医療法人回生会 メディフィット回生会

抄録

<p>【目的】昨年度より当医療法人合築の厚生労働省認定健康増進施設と行政(以下、町)と共同で、メタボリックシンドローム該当者に対し食事と運動を中心とした重症化予防事業を行っている。昨年度は身体組成、血液検査結果ともに改善が見られなかった。しかし、今年度は昨年の反省を踏まえて取り組んだ結果改善が見られた。今回、その取り組みと結果を報告する。</p><p>【方法】期間は平成28年11月から平成29年1月。対象者は町の健康診断にてメタボロックシンドロームと判定された中から当事業に賛同した12名であり、対象者全員に運動療法と食事療法を行った。前年とのプログラ変更点は1)食事指導の早期実施、2)カウンセリングによる個々の明確な目標設定、3)推定1RM測定による目標値設定、4)ハートレートトレーニングの実施、5)インターバルトレーニングの積極的実施、6)家族によるソーシャルサポート支援であった。また変形性膝関節症や脊柱管狭窄症、心筋梗塞後などの既往対象者に対しては理学療法士による介入を頻回に行った。評価は血液検査、腹部CTによる内臓脂肪面積、In bodyであり介入前後のデータを比較検討した。統計学的解析はWilcoxon符号付順位検定を用いp<0.05を有意差ありとした。結果については対象者数が少ないため男女合算にて統計処理を行った。</p><p>【結果】対象者12名(男性7名、女性5名)、平均年齢は60.6歳であった。初期評価時の平均BMIは26.8kg/㎡であり、最終的な変化は体重-2.1±1.1㎏(p<0.05)、内臓脂肪面積-43.4±35.8㎠(P<0.05)、体脂肪率-1.5±1.8%(P<0.05)、腹囲-2.6±2㎝(P<0.05)、LDL-C -21.8±28mg/dl(P<0.05)で有意に減少、筋肉率は1.6±1.7%(P<0.05)で有意に増加した。中性脂肪、HDL-C、HbA1cに有意差は見られなかった。</p><p>【結論】結果より身体組成や内臓脂肪面積、腹囲、LDL-Cの有意な減少がみられた。また昨年の対象者にみられたケガなど体調不良による脱落者はいなかった。現在多くのところでは生活習慣病予防の運動指導は主に健康運動指導士が担っている。しかし、対象者の多くは整形外科疾患や内部障害を抱えていることが多い。当施設では理学療法士が常勤しているため、様々な訴えに対しフィジカルチェックからリスク管理、場合によっては医師からの運動処方せんによる個別対応を行っている。理学療法士と健康運動指導士が共に得意分野の力を発揮することで運動継続への障害を取り除いていくことができると考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき説明を行い、対象者の同意を得ている。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), C-111_2-C-111_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763134843648
  • NII論文ID
    130007692700
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.c-111_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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