地域の同職種における知識と技術の連携

書誌事項

タイトル別名
  • -小児症例のスイッチと装具の作製から考えられる連携システム-

説明

<p>【はじめに・目的】地域包括ケアシステムの構築が推進される以前から多職種連携の必要性は論じられている。理学療法士も地域でリハビリテーション(以下リハビリ)を提供するうえでは様々な職種との連携が必要とされる。一方、地域においては多種多様な疾患や生活上のニーズが存在しており、理学療法士に相談依頼される内容も様々である。それらの疾患やニーズに対応するには一人の理学療法士の経験と知識、技術だけでは困難な場合がある。今回、地域での小児症例の意思伝達機器などに使用するスイッチと装具の作製を、意思伝達の支援事業を利用して作業療法士の指導を受けながら行った。本症例の訪問リハビリを通じて地域における同職種連携について検討したので報告する。</p><p>【方法】症例は脊髄性筋萎縮症Ⅰ型で人工呼吸器を使用している。身体機能は眼球運動は保たれており、両側全手指は屈曲伸展の共同運動が一部可能である。肩関節や股関節には筋収縮がわずかに生じる程度である。日常生活動作はほとんどの動作において全介助から重度介助が必要となっている。意思疎通については、はい、いいえの質問については眼球運動で回答することができる。また、気管カニューレからのリークによりわずかに声を発することができる。意思伝達機器やタブレット、パソコンをスイッチを使用して操作することができる。これらのスイッチと装具は小児専門病院でリハビリを受けている時に4年前に作成し使用していた。しかし成長とともに不適合が生じ訪問リハビリを担当している演者が再作成の依頼を受けた。</p><p>【結果】難病患者に対する意思伝達支援事業の一環として、担当の看護師および作業療法士、保健師が症例の自宅を訪問し、本人および家族、演者とともに必要なスイッチと装具の種類について検討した。その後作業療法士を講師として当院および周辺のリハビリ職種とともにスイッチと装具作製の実技講習会を開催した。これらの講習会を経て本症例に対して当院からの訪問リハビリ実施する中でスイッチ及び装具の作製を行い、作業療法士の助言のもとその後のフォローアップを行った。作製したスイッチおよび装具は授業や自宅での生活に使用しており、現在はスイッチをさらに改良して電動車いす操作に使用することを検討している。</p><p>【結論】地域には多様なニーズが存在するが、知識と技術を持つ同じ専門職種と連携することでそれらのニーズに答えることが可能となる。本症例を通じて実際の訪問リハビリの場で知識や技術を伝達を受けることが可能であることを経験した。地域でのリハビリに対する需要の拡大が予測されるが、様々な症例の状況に対応していくためには多職種連携だけでなく、同職種の連携方法の構築も今後は必要であると考える。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】本報告は、症例本人および家族に学会等での発表について説明し同意を得ている。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), G-83_2-G-83_2, 2019

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763134909696
  • NII論文ID
    130007693440
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.g-83_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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