3ヶ月間の転倒予防教室における身体機能変化

書誌事項

タイトル別名
  • -歩行周期時間変動を中心に-

説明

<p>【はじめに、目的】</p><p> 歩行評価の1つに、歩行の安定性を観察する歩行周期時間変動(STV : Stride Time Variability)という指標がある。STVは、将来的な転倒を予測する指標として広く用いられているが、運動教室参加前後におけるSTVの変化の縦断的検討は十分でない。そこで、本研究は転倒予防教室に参加した地域在住高齢者を対象に、教室参加前後の身体機能評価やSTVを調査し検討することを目的とした。</p><p> </p><p>【方法】</p><p> 対象は、転倒予防教室に参加した地域在住高齢者10名(年齢:84.3±4.7歳)であった。本教室は、健康増進・転倒予防を目的に筋力・バランス・歩行など包括的なトレーニングをおこなう、3ヶ月間(全12回)の転倒予防教室である。評価は初回と最終に実施し、項目として、握力、Timed Up and Goテスト(TUG)、片脚立位時間に加え、快適歩行速度条件(Co条件)、最大歩行速度条件(Fa条件)における歩行速度、STVを調査した。データ分析として、初回と最終回における各指標に対しウィルコクソンの符号付順位和検定を用い検討した。</p><p> </p><p>【結果】</p><p> 実測値(平均値±標準偏差)は、握力(初回/最終)(kg):21.3±3.4/20.9±3.3(p = 1 .00)、TUG(sec):10.0±2.2/9.1±2.3(p = 0.02)、片脚立位時間(sec):23.4±20.5/25.1±18.7(p = 0.69)、Co条件歩行速度(m/sec):1.1±0.2/1.1±0.1(p = 0.81)、Co条件STV(%):2.8±1.2/2.1±0.8(p = 0.69 )、Fa条件歩行速度(m/sec):1.5±0.4/1.6±0.2(p = 0.40)、Fa条件STV(%):2.9±0.9/1.9±0.7(p = 0.04)を示した。</p><p> </p><p>【結論】</p><p> 初回と最終の歩行周期時間変動の比較において、最大歩行速度条件のみ有意な差が認められた。歩行周期時間変動は、快適歩行速度条件で検討されることが多いが、最大、最小歩行速度など歩行速度条件の違いに伴い歩行周期時間変動が変化することも先行研究で示されている。本研究は、速度条件のうち最大歩行速度条件の歩行周期時間変動が転倒予防教室参加前後で改善しやすい可能性を示した。研究限界として、症例数の少なさや、運動機能に影響を及ぼすと考えられる運動習慣や認知機能などが検討出来ておらず、今後も継続して実施するとともに、身体機能以外の評価項目も調査する予定である。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>対象には、ヘルシンキ宣言にのっとり口頭と紙面を用い説明を行い、署名をもって同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), C-110_1-C-110_1, 2019

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763135216000
  • NII論文ID
    130007692682
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.c-110_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ