アスリートに対する物理療法を活用した治療の実践

DOI
  • 玉置 龍也
    横浜市スポーツ医科学センターリハビリテーション科

抄録

<p> スポーツ傷害の治療では,競技への早期復帰や高いパフォーマンス発揮に対するアスリート特有の要望がある。早期の患部治癒,症状軽減,高い運動機能の再獲得などを最短期間で達成する必要があり,同時に再発予防も重要な課題となる。理学療法士としてアスリートに関わる場合,限られた時間で治療を行うことが多く,「早期に安全に高いレベルへ復帰する」という結果を効率よく達成することが求められる。</p><p> スポーツ傷害の治療は,大きく分けて3つの要素からなる。患部治癒,二次的な機能低下の回復,再発予防である。一般的に治療初期には患部治癒が優先され,機能回復を目指し,徐々に再発予防の要素が治療の比重を占めていく。早期復帰のためには問題点を要素ごとに分類し,因果関係を分析し,効率的な治療プロトコルを組み立てることが重要である。治療による変化が他の問題を解決に導く好循環をもたらすような円滑な競技復帰への流れを作る必要がある。</p><p> 筆者は物理療法の実践も同様の分析に基づく判断が重要と考えている。物理療法を活用する意義は,各エネルギーがもつ独自の作用にある。運動による力学的刺激や生理学的作用では得難い効果は貴重な選択肢となる。物理療法の持つ独自効果が治療の中で十分に発揮されれば,短期的にも長期的にも円滑で効率的な治療が可能になるはずである。そのためには各エネルギーの適応をメカニズムから理解し,治療プロトコルに適切に組み込む選択が必要であるのはいうまでもない。今回は最新の物理療法の知見を踏まえながら,物理療法の作用を治療の要素によって分類し,適応について整理する。また,実際の治療経験を交えながら,物理療法を活用した治療の実践について紹介する。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), F-34-F-34, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763135264512
  • NII論文ID
    130007693262
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.f-34
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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