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変形性股関節症の罹患期間の長期化に伴い歩行時の代償パターンを形成しTHA施行後に歩行時の下肢機能に着目した一症例
Bibliographic Information
- Other Title
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- ~股関節の適切な屈曲と伸展運動の獲得と歩行時のトレンデレンブルク徴候の改善を目指して~
Description
<p>【症例紹介】変形性股関節症(以下、股OA)の診断後5年経過し、人工股関節全置換術(以下、THA)を施行した症例を担当した。症例は70代女性。平成25年10月に右股OAと診断され、平成30年5月にTHAを施行した。術前より歩行時のトレンデレンブルク徴候と疼痛回避による代償運動が観察された。理学療法介入後に股関節運動時や歩行時の疼痛軽減と代償運動が改善したため、以下に報告する。</p><p>【評価とリーズニング】主訴は、痛みなく歩けるようになりたい。疼痛は、安静時痛(−)、夜間時痛(−)、運動時痛(股関節運動時、歩行立脚中期に股関節深層部の疼痛+)。術前評価のROMでは右股関節屈曲85°(疼痛、以下P)、伸展5°(P)、外転30°、内旋−15°(P)。MMTは右股関節屈曲2(P)、伸展2(P)、外転3、内転2、内旋2(P)、膝関節屈曲2、伸展3(P)、底屈2+(腹臥位での測定)。Thomas testは右側で陽性。股関節屈曲や伸展と内旋では、股関節深層部の疼痛を認めた。X線評価はCE角17°、Sharp角46°、AHI 61%であった。股関節屈曲ROMでは、外腹斜筋の収縮に伴う骨盤挙上運動が見られた。股関節伸展のROMは伸展と内旋に伴う骨盤前傾が見られず、MMTでは膝屈曲位で行う大殿筋の単独の筋収縮を促した運動では、大腿二頭筋の収縮による代償運動を認めた。歩行では、変形性股関節症の罹患期間の長期化に伴い、股関節部の疼痛による疼痛回避の跛行や疼痛による荷重不足に伴う下肢機能の低下を招き、不適切な下肢体幹筋群の収縮や運動パターンを形成したと考えられた。右立脚初期では、骨盤左回旋位で股関節軽度外旋位にて屈曲減少が観察され、股関節屈曲と内旋のROM制限に加えて立脚初期で求められる大殿筋の筋力低下によるものと推察した。右立脚初期から中期は、骨盤水平位を保持できずに右側骨盤の挙上を認め、トレンデレンブルク徴候が観察され、中殿筋の遠心性収縮の筋機能低下によるものと推察した。右立脚中期から後期では、体幹軽度屈曲と右回旋位で右側骨盤挙上に伴う右回旋位となり、股関節伸展と内旋のROM制限と腸腰筋の遠心性収縮の筋機能低下により股関節の伸展減少と軽度外旋位となり、下腿三頭筋の遠心性収縮の筋機能低下により足関節背屈が減少していたと推察した。右遊脚終期では、股関節屈曲のROM制限や外腹斜筋の収縮に伴う体幹軽度屈曲、骨盤左回旋の代償運動となり、股関節内旋のROM制限により軽度外旋位となり、大腿四頭筋の筋力低下による膝関節伸展運動の減少と推察した。</p><p>【介入内容および結果】最終評価時(術後18日後)の股関節ROMでは、術後に構造学的な問題が改善されると共に股関節深層部の疼痛が消失し、屈曲は外腹斜筋の収縮による骨盤運動を抑制しながら屈曲を促すことで、ROMが105°まで改善した。股関節の内旋では、股関節外旋筋群のストレッチとリリースを実施し、内旋のROMが10°まで改善した。股関節伸展は腸腰筋の柔軟性低下に対するストレッチを行うことで柔軟性が向上し、Thomas testが陰性となり、骨盤の前傾と股関節の内旋を促すことで伸展のROMが20°まで改善した。歩行時の右立脚初期では、大殿筋の筋力増強を図ることでMMTが4まで改善し、内旋のROMが改善したことにより代償運動が消失した。右立脚初期から中期にかけて、中殿筋の遠心性収縮を促すことでMMTが4まで改善し、骨盤挙上の減少に伴いトレンデレンブルク徴候が改善したと考えられる。右立脚中期から後期では、股関節伸展と内旋のROMが拡大したことと腸腰筋の遠心性収縮機能の改善を促したことにより、歩行時の股関節伸展が観察され、下腿三頭筋の遠心性収縮機能の改善を促すことでMMTが4まで改善し、歩行の立脚後期の足関節背屈が観察された。右遊脚終期では、適切な股関節屈曲運動の獲得とROMが拡大したことにより、外腹斜筋の収縮に伴う体幹と骨盤の代償運動による振り出しが消失した。また股関節内旋のROMが拡大したことにより股関節軽度外旋運動が消失し、大腿四頭筋の筋力増強を図ることでMMTが4まで改善し、膝関節伸展が観察された。</p><p>【結論】変形性股関節症の罹患期間の長期化に伴い、歩行時の代償運動が出現したと考えられる症例に対しては、現病歴の経過を適切に捉え、股関節機能に加えて膝関節や足関節の下肢機能にも焦点をあてアプローチする必要がある。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】対象症例には、目的や内容、測定データの取り扱いに関しての説明を十分に行い、書面での同意を得た。</p>
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 46S1 (0), H2-140_2-H2-140_2, 2019
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763135299200
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- NII Article ID
- 130007693673
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed