市町村福祉部門において精神障害者の個別援助活動に携わる保健師のジレンマの構造

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タイトル別名
  • The Structure of the Dilemma of Public Health Nurses Involved in Individual-support Activities for Mentally Disabled Persons in the Department of Municipal Welfare
  • シチョウソン フクシ ブモン ニ オイテ セイシン ショウガイシャ ノ コベツ エンジョ カツドウ ニ タズサワル ホケンシ ノ ジレンマ ノ コウゾウ

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抄録

<p>目的:市町村福祉部門において精神障害者の個別援助活動に携わる保健師のジレンマについて,ジレンマを構成する要素間の関係性から構造を明らかにする.</p><p>方法:関東地域の市町村福祉部門に所属し,精神障害者の個別援助活動に1年以上従事している保健師11人を対象とした.データ収集は,ジレンマの具体的場面等について半構造化面接を行った.分析は,要素間の関係性をとらえて図解化することを通して構造を把握できるKJ法を用いた.</p><p>結果:市町村福祉部門において精神障害者の個別援助活動に携わる保健師のジレンマは,要素1【保健師という名目だけの職員になる】という保健師活動へのあきらめと,要素2【(保健師だから)自助力がつくように支援したい】という現状への抵抗とを状況に応じて変えながら,要素3【その保健師なりの“福祉保健”をやっている】のように福祉部門と共生し,あきらめや抵抗の状況と共生を相互に繰り返す構造となっていた.</p><p>考察:保健師は,保健部門との理念の相違によるあきらめと,福祉部門では求められていない対象者のセルフケアを促す活動を行うなどの現状への抵抗を,状況に応じて変えていた.そのなかで保健師は,自然に潜在的な能力を発揮して,福祉の場に合わせた活動を行い,共生していた.ジレンマを乗り越えるためには,保健師のリフレクションを通して,福祉部門の保健師活動を顕在化し,職業的アイデンティティの再認識を促す必要がある.</p>

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