フナ類を用いた稲田養魚におけるトップダウン効果

  • 鶴田 哲也
    Department of Environmental Science and Technology, Faculty of Design Technology, Osaka Sangyo University
  • 井口 恵一朗
    Graduate School of Fishery Science and Environmental Studies, Nagasaki University

書誌事項

タイトル別名
  • Top-down effect in rice-fish culture using juvenile crucian carp evaluated by biota in experimental paddy fields

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抄録

実験水田内にフナ類の稚魚(孵化後20日齢)を用いた稲田養魚区とイネ単独栽培区を設け,生物相,水質および米の収量を比較することにより,水田生態系におけるフナ類の役割を検証した。稲田養魚区では,フナ類の摂餌の影響により動物プランクトンおよび底生無脊椎動物の個体数が減少した。また,同実験区では水田水中のクロロフィル a 濃度が高い値を示した。これは,フナ類のトップダウン効果により,植物プランクトンの現存量が増加したためであると考えられる。さらに,同実験区では水田雑草の発生量が低下する傾向が認められた。これは,フナ類の遊泳による底泥の撹拌や植物プランクトンの増加による水底への日照量の低下によるものと考えられる。稲田養魚区では硝酸性窒素濃度も高い値を示したことから,フナ類は種間相互作用を通じてイネの生育にプラスの効果を与えることが示唆される。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 66 (4), 297-307, 2018

    日本水産増殖学会

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