肝細胞癌に対するTACE後の治療効果判定における血清ラミニンγ2単鎖の有用性

  • 近江 亮介
    聖マリアンナ医科大学 内科学(消化器・肝臓内科)
  • 清川 博史
    聖マリアンナ医科大学 内科学(消化器・肝臓内科) 神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん生物学部
  • 松本 伸行
    聖マリアンナ医科大学 内科学(消化器・肝臓内科)
  • 奥瀬 千晃
    聖マリアンナ医科大学 内科学(消化器・肝臓内科)
  • 中川 将利
    アボットジャパン株式会社 診断薬・機器事業部 神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん生物学部
  • 吉田 栄作
    アボットジャパン株式会社 診断薬・機器事業部
  • 吉村 徹
    アボットジャパン株式会社 診断薬・機器事業部
  • 清木 元治
    金沢大学 医薬保健研究域・医学系
  • 越川 直彦
    神奈川県立がんセンター 臨床研究所 がん生物学部
  • 安田 宏
    聖マリアンナ医科大学 内科学(消化器・肝臓内科)
  • 伊東 文生
    聖マリアンナ医科大学 内科学(消化器・肝臓内科)

書誌事項

タイトル別名
  • The Serum Laminin-γ2 Response Predicts the Treatment Efficacy of Transarterial Chemoembolization for Advanced Hepatocellular Carcinoma

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説明

<p>【背景】血清ラミニンγ2単鎖(Ln-γ2m)測定は臨床的に有用な肝細胞癌(HCC)診断の新規腫瘍マーカーとなる可能性がある。Ln-γ2mがHCCの治療効果判定の指標となるかは明らかでない。そこで肝動脈化学塞栓療法(TACE)前後の血清Ln-γ2m値を測定し,治療効果判定への有用性を検討した。<br/>【方法】2013年1月から2018年2月までに加療したHCC症例28例(男性:19例,女性:9例,平均年齢値:70歳)を対象とした。TACE後1週間〜1ヶ月(中央値7日:4〜25日)に施行された造影computed tomography(CT)画像を用いて,modified RECIST criteriaによりその治療効果を評価した。また,TACE術前と術後7日の血清のLn-γ2m値を化学発光免疫測定法(Chemiluminescent immunoassay: CLIA)で測定し,CT画像による治療効果との比較を行った。<br/>【結果】CT画像による治療効果判定は著効(Complete response:CR)5例,有効(Partial response:PR)11例,不変(Stable disease:SD)5例,進行(Progressiveon disease:PD)7例であった。治療有効例であるCR群とPR群では,CR 3/5例(60%),PR 4/11例(36%)でTACE後に血清Ln-γ2m値が有意に低下した。PR 7/11例(64%)でTACE後に血清Ln-γ2m値が上昇し,CT画像においても3ヶ月以内に腫瘍の増悪が認められた。治療無効群であるSD群とPD群では,SD 5/5例(100%)とPD 6/7例(86%)において,TACE後に血清Ln-γ2m値の有意な上昇を認めた。<br/>【結語】血清Ln-γ2mは,HCCにおけるTACE術後のCT画像による治療効果判定を補完する新たな指標分子となりうる可能性をもつ。</p>

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