RAPDの臨床価値

  • 瀧澤 剛
    一般財団法人 倉敷成人病センター リハビリテーション科
  • 三木 淳司
    川崎医科大学 眼科学教室1

書誌事項

タイトル別名
  • The Clinical Value of Relative Afferent Pupillary Defect

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説明

<p> 近年,OCTやMRIなどの画像検査の発展により眼底所見の乏しい視神経疾患の診断における情報が増えていてもなお,視神経疾患におけるrelative afferent pupillary defect(RAPD)は診断において有用性の高い所見である.RAPDの測定は広く行われているが,臨床では視神経疾患の診断を目的としたRAPDがあるか否かの定性的な評価にとどまっていた.しかし,近年RAPDの定量的評価が可能なpupillographyが臨床的な検査機器として用いられるようになってきた.pupillographyによって測定されたRAPDは従来のneutral density(ND)フィルターを用いて測定したRAPDと相関関係にあり,簡便かつ客観的に測定可能で,検者間での誤差が少なく,より小さいRAPDの定量が可能である.そのため,視神経疾患の診断のための評価だけでなく,視神経疾患の経過における評価ツールとしての有用性や,視神経疾患以外の疾患においても有用性が報告されている.また,視神経疾患や緑内障におけるRAPDと光干渉断層計(OCT)によって測定された網膜内層厚は相関関係にあることが報告されている.そのため,RAPDの定量的評価が網膜構造の変化を捉えるスクリーニングツールとしても有用性が期待されている.しかし,pupillographyでは通常,RAPDの定量が患眼と健眼の縮瞳量の差から算出されるため,従来のRAPDの定量方法とは異なること,両眼性の疾患についてはRAPDが検出されないことを念頭に置いて評価する必要がある.</p>

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 36 (4), 386-396, 2019-12-25

    日本神経眼科学会

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