都市部の生活支援付きの民間宿泊施設に入所した生活困窮者の健康状態と生活支援ニーズの特徴:新規入所者の年代別検討

  • 的場 由木
    すまい・まちづくり支援機構 首都大学東京大学院人間健康科学研究科看護科学域博士後期課程
  • 斉藤 恵美子
    首都大学東京大学院人間健康科学研究科看護科学域

書誌事項

タイトル別名
  • Health status and support needs of low-income people admitted to supportive housing in urban areas of Japan: Research on new residents across several age groups
  • トシブ ノ セイカツ シエン ツキ ノ ミンカン シュクハク シセツ ニ ニュウショ シタ セイカツ コンキュウシャ ノ ケンコウ ジョウタイ ト セイカツ シエン ニーズ ノ トクチョウ : シンキ ニュウショシャ ノ ネンダイ ベツ ケントウ

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抄録

<p>目的 本研究の目的は,都市部の生活支援付き民間宿泊施設に新規入所した生活困窮者の健康状態の特徴を年代別に明らかにすることである。</p><p>方法 対象者は,都市部の生活困窮者に居住・生活支援を提供しているNPO法人の宿泊所・自立援助ホームの新規入所者(2012年4月1日~2015年3月31日)341人とした。調査項目は,入所時の記録から,性別,年齢,障害支援区分,要介護度,利用開始時の健康状態,施設利用に至る経緯等とした。利用開始時の健康状態の特徴について,年代別に検討した。</p><p>結果 対象者の9割以上は40歳以上の中高年齢層であり,生活保護を受給している単身男性が多く,病院や施設からの退所後に帰住先がないことや身体機能の低下や認知症状の悪化を理由に宿泊施設利用に至っていた対象者が多かった。また,40歳未満の対象者は依存症や統合失調症,知的障害・発達障害の割合が高く,40歳代から50歳代は,精神疾患に加え,生活習慣病の割合が高かった。さらに,60歳以上の対象者は,認知症や視聴覚系の疾患等の老化に伴う疾患の割合が高かったが,利用開始時の疾病が不明の割合も高かった。</p><p>結論 本調査の結果から,民間宿泊施設に新規入所した生活困窮者の多くが,利用開始時にすでに精神的・身体的な疾患や障害を有していることが明らかとなった。年代別に異なった生活支援ニーズを有していることが示唆されたことから,今後,民間の宿泊施設入所者の年代別の課題に応じた生活支援を提供する仕組みを検討する必要がある。</p>

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