運動療法とインソールが有効的であったシャルコー・マリー・トゥース病の一症例

DOI
  • 緒方 雄介
    東京慈恵会医科大学葛飾医療センター
  • 藤田 吾郎
    東京慈恵会医科大学葛飾医療センター
  • 河合 はるか
    東京慈恵会医科大学葛飾医療センター
  • 中村 高良
    東京慈恵会医科大学葛飾医療センター
  • 小林 一成
    東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座

抄録

<p>【はじめに】シャルコー・マリー・トゥース病(以下,CMT)のリハビリテーションについては、総論的に拘縮予防、筋力維持、装具療法が推奨されているが、エビデンスレベルの高い報告はない。今回、CMT由来の筋力低下により、立位バランスと歩行能力が低下した症例において、運動療法と装具療法による効果が得られたため報告する。</p><p>【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき、対象者には十分な説明にて同意を得た。</p><p>【症例紹介】50歳代前半、女性、職業は事務職、屋外歩行では杖を使用している。40歳代後半に下肢の筋力低下と感覚障害を自覚しており、50歳代前半に症状増悪にて精査入院し、CMTと診断された。</p><p>【理学療法評価】足趾は底屈位を呈するが、可動域は制限なし。筋力は、体幹屈曲5、股関節屈曲5/5伸展3/3内転3/3外転3/3内旋4/4外旋4/4、膝関節屈曲3/3伸展5/5、足関節底屈2/2背屈3/3、中足趾節間関節底屈3/3背屈3/3、近位・遠位趾節間関節底屈3/3背屈1/1。腰革の低い短靴を履いた状態では、継ぎ足保持、片脚立位は不可。 歩行は疲労感により長距離歩行が困難であった。</p><p>【経過】運動療法では股関節と膝関節周囲筋の筋力増強運動を実施した。装具療法では腰革の高い半長靴とインソールを提案し、足趾把持バーおよび踵骨部の外側ウェッジを設置した。着用後は、継ぎ足保持と、片脚立位での反対側下肢挙上が実施できた。歩行は30分以上の長距離歩行が可能となった。</p><p>【考察】機能が残存している近位筋への筋力増強運動により、股関節周囲の安定性が向上した。さらに、半長靴とインソールを選択し、適度な足趾把持バーを設置できたことで、足趾把持機能の向上や有効支持基底面が拡大し、バランス能力と歩行が改善した。いまだリハビリテーションの科学的根拠が乏しく、さらにサブタイプの存在により症状が多様であるCMTの理学療法では、症例に応じた運動療法や装具療法の報告による症例集積が重要と考える。</p>

収録刊行物

詳細情報

  • CRID
    1390283659837246208
  • NII論文ID
    130007779694
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-064
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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