慢性期片麻痺患者に対してのHONDA歩行アシストとNordic walkの相乗効果:症例報告

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抄録

<p>【背景】当院では治療や予防医学の観点からNordic walk (以下:NW)やHonda歩行アシスト(以下:HWA)を積極的に使用している.今回双方のメリットを併せる事で相乗効果を得ることが出来たので以下に報告する.</p><p>【目的】慢性期片麻痺患者へT-cane walk(以下:TW)とNWをHWAにて測定を実施.患者の主観的側面と療法士の客観的側面から最適な歩行補助具を選定し,HWA にて相乗効果を得る.</p><p>【方法】対象は70歳代女性.右前頭葉の出血にて第8病日に当院へ入院.左半身の症状は特に見られなかったが23 年前に左被殻出血を発症し運動麻痺の後遺症がある.右側の機能はSIAS-m:上肢1-0/下肢4-4-0,筋緊張:下腿三頭筋MAS2.歩行はプラスチック短下肢装具を着用し中等度介助.第21病日時点で歩行が最小介助になった為,HWAにてTWとNWにて測定を行った.その結果NWの方が主観的(姿勢が伸びる,足が出しやすい),客観的(股関節伸展角度,歩調,速度)ともに高値を認めた為,NWを選択しHWAでの訓練を行った.</p><p>【倫理的配慮】本症例には個人情報を削除した上で報告させていただく主旨を書面にて説明し同意を得た.</p><p>【結果】第21病日時点 TW:10m歩行20.0秒,6分間歩行240m,右股関節伸展角度3°,歩調87歩/分 NW:10m歩行17.0秒,6分間歩行300m,右股関節伸展角度8°,歩調95歩/分 第57病日時点NW:10m歩行12.5秒/歩,6分間歩行400m,右股関節伸展角度18°,歩調108歩/分</p><p>【考察】本症例は,右上下肢の痙縮が強く,立脚期の体幹前傾・股関節伸展不足を認めていた.歩行アシストでは股関節に作用するモーター出力によって,上半身と骨盤の代償動作の抑制を行うことが出来るが,本症例では代償動作の抑制に限界を感じた.そこでNWを併用することで上肢による支えと高い位置での杖の把持による体幹の正中保持が行いやすくなる.その結果,歩行アシストとNWの効果が合わさる事で,股関節伸展角度,歩行効率の向上を認めた.</p><p>【まとめ】慢性期片麻痺患者への歩行再建のためにはNordic Walkが有用となる可能性がある.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390283659837350400
  • NII論文ID
    130007779484
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_o-029
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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