腎臓癌を原発巣とした転移性脊椎腫瘍により対麻痺を呈した症例~転移性脊椎腫瘍および片腎摘出後のリスク管理~

DOI
  • 石橋 香里
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 桂田 功一
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 佐々木 健人
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 翠川 夕紀
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 川嶋 実里
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 平野 健大
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 鈴木 壽彦
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 山田 健治
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 木下 一雄
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科
  • 樋口 謙次
    東京慈恵会医科大学附属柏病院リハビリテーション科

抄録

<p>【はじめに】腎臓癌を原発巣とした転移性脊椎腫瘍により対麻痺を呈した症例を経験した。転移性脊椎腫瘍に対する椎体摘出術、二期的固定術および腎臓全摘出術の周術期におけるリスク管理の視点から理学療法を実施した症例について報告する。</p><p>【症例紹介】症例は腎臓癌を原発巣とした転移性脊椎腫瘍により、第7胸椎の病的骨折および胸髄損傷を認め、対麻痺を呈した40歳代男性である。X-10日に下肢の脱力と感覚障害などの神経症状が出現したため、X日に緊急で除圧後方固定術を施行された。X+3日より理学療法が開始され、X+15日に化学療法が開始された。X+44日に胸椎前方固定術を行われ、X+76日に腎臓摘出術を施行され、X+86日にリハビリテーション病院へ転院となった。なお、症例には本発表の意義と目的を口頭にて説明し同意を得た。</p><p>【理学療法経過】転移性脊椎腫瘍により第8胸髄以下の完全対麻痺を認めた。その他の脊椎と臓器への転移を認めず、化学療法開始後も明らかな副作用は認めなかった。 腎臓全摘出前のeGFRは92.9ml/分/1.73m2であり、摘出後には73.5 ml/分/1.73m2となった。残存筋の筋力強化はBorg scale13-15の運動強度で行った。前方固定術前は脊椎の長座位での屈曲方向への負荷を考慮し、長座位での過度な屈曲に配慮しつつ座位バランス練習を重点的に実施した。二期的固定術後にSLRの拡大を図った結果、FIMは73点から89点、SCIMは43点から60点となった。</p><p>【考察】腎摘出術周術期にeGFRが顕著な低下を認めず経過したことから、腎機能への負荷を考慮し設定した運動強度は適切であったと考える。また、二期的固定術を行った骨への負荷を考慮して運動負荷を段階的に変更したことにより、転移性脊椎腫瘍から対麻痺を呈した症例であっても原疾患の管理や脊椎損傷に配慮した動作練習を行うことで、外傷性脊髄損傷と同様にADL能力の向上が期待できると考える。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390283659837355648
  • NII論文ID
    130007779528
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_f-046
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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