腰部脊柱管狭窄症による痺れに対しアライメントの修正を図り症状が改善した一症例

DOI

抄録

<p>【背景】腰部脊柱管狭窄症は脊柱管の狭窄により神経根や馬尾が圧迫され,痺れ,歩行障害等を引き起こす一連の症候群である.痺れを伴う下肢痛例には保存療法では限界があると言われており,治療法は確立されていない.今回,下肢の痺れと歩行能力の低下を認めた症例に対して,一般的な運動療法や牽引療法に加え,アライメント修正を図ったことで症状が改善したため報告する.</p><p>【症例紹介】2018年6月から右下腿に痺れが出現後改善せず,同年11月に歩行能力の低下のため外来での理学療法が開始となった.尚,発表にあたり患者に説明し同意を得た.</p><p>【経過】初回評価では,右下肢の痺れがNRS8/10,右胸最長筋,右腰腸肋筋に筋硬結を認めた.筋力はL4以下でMMT4,立位姿勢は過剰に胸椎が後弯し,Occiput to wall distance(以下,OWD)は 16cmであった.歩行は10m歩行17.0秒23歩,6分間歩行271mであった.Bodackの運動療法を参考にプログラムを実施したが,痺れは改善せず,椎間孔の拡大を目的に牽引療法を追加した.これにより実施直後から痺れが1時間消失し,即時効果を認めたため継続した.消失時間は徐々に20時間まで延長したが,介入8週目よりプラトーに達した.そこで日常生活の活動時における椎間孔へのストレス軽減を目的にストレッチやローカル筋トレーニングを追加し,アライメント修正を図った.最終評価では,痺れの消失時間が28時間と延長し,出現時の痺れはNRS3/10と軽減した.筋硬結は緩和し,下肢筋力は著変なく,立位姿勢は胸椎の後弯が減少し,OWDが11cmとなった.歩行は10m歩行11.1秒19歩,6分間歩行323mとなった.</p><p>【考察】今回,運動療法と牽引療法では痺れが残存したが,アライメント修正を図った事で症状の改善を認めた.除重力位での牽引療法でのアプローチに加えて日常生活における抗重力位でのメカニカルストレスを考慮し,初期の段階からアライメントに着目することが重要だと考えられる.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390283659837362304
  • NII論文ID
    130007779579
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_p-037
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ