左肺炎から無気肺を呈し、換気改善に難渋した一症例

説明

<p>【はじめに】左肺炎により無気肺を呈した症例に対して呼吸リハビリを行うも、換気改善に難渋した症例を経験したため報告する。</p><p>【症例】80代男性。近医にて肺炎と診断され抗菌剤の処方を受け帰宅した。その後も倦怠感・咳嗽・息苦しさが改善せず、当院に入院した。入院時O21ℓ/分鼻カヌラにてSpO297%であった。既往歴:肺結核・肺気腫 喫煙歴:20本×60年</p><p>【倫理的配慮】書面と口頭にて説明し同意を得た。</p><p>【経過と介入】左肺野は全体的に呼吸音が減弱し、下葉側面は水泡音、下葉背面に気管支呼吸音化を認めた。排痰目的にて発病4病日より呼吸リハビリの介入を開始した。CRPは15mg/dlと高値で、倦怠感が強く、食事とリハビリ時以外は臥床していた。20病日に肺結核の疑いにて隔離され、リハビリも介入中止となった。27病日に肺結核は否定され隔離解除、リハビリ再開となった。CRP は3.8mg/dlまで低下したが、左下葉の無気肺が出現した。 左下葉の気管支呼吸音化領域の拡大、動作時のSpO2低下を認め、ADLはさらに低下した。リハビリでは換気改善を目的に様々な体位での呼吸介助、胸郭のリラクゼーション、離床を図った。リハビリ介入直後においては捗々しい改善はみられなかったが、リハビリを長期に継続することにより41病日以降、日中の離床時間は拡大し、無気肺の軽減に至った。</p><p>【考察】1週間の隔離中にリハビリ介入が行えなったことにより、元々低かった活動量がさらに低下した。肺気腫に肺炎を合併したことで気道クリアランスは著しく低下した。そのため呼吸介助や深呼吸により生じる圧力ではcritical opening pressureを作り出すことが出来ず、痰の移動が不十分となった。これらの要因により換気改善に難渋したが、栄養投与とともに長期間リハビリを行ったことにより、換気改善に至った。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390283659837487232
  • NII論文ID
    130007779521
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.38.0_f-051
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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