急性期脳卒中患者に対する超音波診断装置を用いた下肢筋厚測定の信頼性の検討
抄録
<p>【目的】脳卒中後の筋量低下は転倒リスクの増大や能力障害と関連することから、臨床で評価することは重要である。本研究の目的は、急性期脳卒中患者に対して筋厚測定の信頼性を検討し、筋量測定としての有用性を明らかにすることである。</p><p>【方法】脳卒中患者16名(70.3±11.9歳)を対象とした。 対象の筋は非麻痺側、麻痺側の大腿直筋(RF)、内側広筋(VM)、中間広筋(VI)、外側広筋(VL)、前脛骨筋 (TA)、腓腹筋内側頭(GM)、ヒラメ筋(SOL)で、3 名の理学療法士が2回ずつ計6回測定した。統計解析の手法は以下の通りである。検者内・間信頼性にICC(1,1)とICC(2,2)、比例誤差にBland-Altman分析、加算誤差にdiff−95%CI、測定誤差にSEMとMDC95を算出した。 統計ソフトにはSPSSver.25を用い、有意水準は5%とした。</p><p>【倫理的配慮】当院倫理審査委員会の承認を得て実施し、対象者に本研究の意図を説明して同意を得た。</p><p>【結果】初回測定病日は12.4±7.3日であった。各筋厚値(cm)をRF、VM、VI、VL、TA、GM、SOLの順に非麻痺側/麻痺側で示す。1.61±0.28/1.58±0.46、2.22± 0.86/2.17±0.82、1.26±0.27/1.26±0.34、1.80±0.48/1.91 ±0.45、2.19±0.45/2.20±0.42、1.66±0.39/1.61±0.43、1.61±0.29/1.61±0.27であった。ICC(1,1)、ICC(2,2)は両側共に0.8以上でalmost perfect、非麻痺側GMに比例誤差を認めた。diff−95%CIは全て0を含み、全筋厚のSEM(最小値-最大値)は非麻痺側0.03-0.06、麻痺側0.05- 0.09、MDC95(最小値-最大値)は非麻痺側0.08-0.18、麻 痺側0.14-0.24であった。</p><p>【考察】ICCは0.41-0.60でmoderate、0.61-0.80でsubstantial、0.81-1.00でalmost perfectと解釈される。本研究結果ではICC(1,1)、ICC(2,2)共に0.81-1.00間でalmost perfectであり、大腿前面、下腿後面などの筋群に対して信頼性を検討した先行研究と近似した結果を得たことから、筋量測定としての有用性が示唆された。</p><p>【結論】非麻痺側・麻痺側ともに優秀な信頼性を確認でき、筋量測定としての有用性が示唆された。</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 38 (0), O-041-, 2020
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390283659837491968
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- NII論文ID
- 130007779567
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可