咽頭がん放射線治療における口腔有害事象

書誌事項

タイトル別名
  • Oral adverse events of radiotherapy for pharyngeal cancer: A case examination
  • 臨床・症例報告 咽頭がん放射線治療における口腔有害事象 : 出現経過を追った症例の検討
  • リンショウ ・ ショウレイ ホウコク イントウ ガン ホウシャセン チリョウ ニ オケル コウコウ ユウガイ ジショウ : シュツゲン ケイカ オ オッタ ショウレイ ノ ケントウ
  • -出現経過を追った症例の検討-

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抄録

<p> 頭頸部がんに対する放射線治療では口腔・咽頭粘膜炎,口腔乾燥症,味覚障害などの有害事象が高頻度で発生し,摂食嚥下障害や低栄養,感染症などのリスク因子となる.今回,照射野が異なる上咽頭がん,中咽頭がん,下咽頭がんの3 症例について放射線治療による有害事象の出現経過を調査したので報告する.</p><p> 口腔有害事象の評価は,放射線治療開始前から終了まで,診察時に自覚症状の記録により行った.評価項目は口腔内の疼痛,咽頭痛,口腔乾燥感,味覚障害の4項目とし,0 ~10の数値評価スケールを用いて患者自身がその程度を評価し,歯科衛生士は,口腔粘膜炎の評価をCTCAEv3.0を用いて実施した.</p><p> 3症例とも放射線量20 Gy頃に口腔粘膜炎と疼痛の出現が認められた.鎮痛剤の使用により,口腔粘膜炎の悪化と口腔内の疼痛は必ずしも一致しなかった.照射野が変更になる治療の後半において,疾患別,照射野別に口腔粘膜炎の経過に差が認められた.味覚障害と口腔乾燥感は,治療の比較的早期から同時期に出現していたことから,放射線による味蕾細胞の物理的障害と共に, 口腔乾燥から影響を受けている可能性が考えられた.</p><p> 放射線治療による有害事象の出現時期や経過を把握することは早期の対応を可能にすると共に,患者への的確な情報提供にもつながるため,重要であると考えられる.</p>

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