問いを立てることを学習する哲学教育

書誌事項

タイトル別名
  • Teaching Children to Ask Questions in Philosophy Education
  • 問いを立てることを学習する哲学教育 : 米国初等後期用教科書Philosophy for Kidsの場合
  • トイ オ タテル コト オ ガクシュウ スル テツガク キョウイク : ベイコク ショトウ コウキヨウ キョウカショ Philosophy for Kids ノ バアイ
  • : An Analysis of an American Textbook of Philosophy for Upper Elementary School Students
  • 米国初等後期用教科書Philosophy for Kids の場合

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抄録

本稿では,米国の初等後期用教科書Philosophy for Kids を取り上げ,そのカリキュラムの構成を分析し,特質を解明した。40の教育活動から編成されるPhilosophy for Kids は,各教育活動の構成を,概念の定義を取り上げて内省的に吟味する構造にすることによって,子どもたちが学習の中で概念の定義に関する問い-例えば,正しいとは何か-をみずから立てるようにしていた。そして,カリキュラムの内容として,哲学の主要な学問的領域それぞれから各教育活動のテーマとなる概念を選択し,その配列を,それらの概念を重層的に関連づけるものとしていた。このような構造によって,子どもたちが問いを連続させて我々が物事を理解する仕方を追求できるように編成していた。Philosophy for Kids の特質は,学習の目的を子どもたちが問いを立てることそのものとし,それを子どもたちがみずからできるようにしているところにある。哲学教育に関して,これまで考えられてきた思想を理解することのみにとどまるものを,自ら問いを立てて物事を理解する仕方の別の可能性を作り出す,新しいものに変化させている。このような新しい哲学教育は,従来の教科教育で行われてきた問いを立てることを手段とする学習とは違う,問いを立てることを目的とする学習の在り方を示している。

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