マルチクラス懸濁質輸送モデルを用いた福島沿岸域における 河川由来懸濁質および懸濁態放射性核種の海洋分散について

書誌事項

タイトル別名
  • A Multi-class Sediment Transport Model for Oceanic Dispersal of River-derived Sediments and Associated Suspended Radionuclides off Fukushima
  • マルチクラス ケンダクシツ ユソウ モデル オ モチイタ フクシマ エンガンイキ ニ オケル カセン ユライ ケンダクシツ オヨビ ケンダクタイ ホウシャセイカクシュ ノ カイヨウ ブンサン ニ ツイテ

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抄録

福島第一原発由来の放射性核種の沿岸域での懸濁質分散とそれに伴う懸濁態137Cs インベントリの精緻な評価に向けて,JCOPE2-ROMS ダウンスケーリングによる3段ネスト高解像度領域懸濁質輸送モデルを開発した.本モデルでは,浅海域の再懸濁過程で重要となる波浪の効果を考慮するとともに,サイズ毎に異なる分散挙動を評価するためにマルチクラス粒子に対応させ,さらに河川由来の懸濁質や海底堆積層から再懸濁して海洋中を再循環する輸送過程を取り込んだ点に大きな特徴がある.水深200m 以深の沖合堆積物中に出現する高濃度の懸濁態137Cs の起源について評価した結果,予想されていた浅海域からの懸濁物輸送の寄与は小さく,有機物系粒子に吸着した137Cs が関与する可能性が示唆された.また,水深600m 程度の沖合海域では仙台湾沖をソースとする南向き細粒懸濁質フラックスが等深線に沿うように発達すること,河川からの懸濁質の再循環は水深30m 以浅の浅海域に限定されることなどが明らかとなった.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 54 (2), 159-172, 2017

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

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