オホーツク海のラジオゾンデ観測-大気境界層の霧と小高気圧-

書誌事項

タイトル別名
  • Radiosonde Observation of Sea Fog and Meso-Anticyclone over the Sea of Okhotsk
  • オホーツクカイ ノ ラジオゾンデ カンソク : タイキ キョウカイソウ ノ キリ ト ショウコウキアツ

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抄録

1998年と2006年夏にオホーツク海でラジオゾンデ観測を実施した.その結果,霧の発生事例と,無発生事例,さらにメソスケールの高気圧が観測された.霧発生時と無発生時のそれぞれの特徴は次のようなものであった.霧発生期間:海洋から大気へ向かう潜熱顕熱輸送によって,大気下層は暖められる.混合層トップの霧頂上で放射冷却が起こり,混合層上部は冷却される.従って鉛直混合が誘発され混合層が発達維持され霧が発生維持される.海洋は大気によって冷やされ海洋表層に混合層を形成する.無霧期間:海面水温が海上気温よりも低い.顕熱輸送は大気から海洋に向かう.これは大気を安定化させる効果を持つ.従って上空の運動量は下向きには輸送されにくいことにより海上風が弱まる.この弱風効果によって下層大気が乾いているにも拘わらず潜熱フラックスが小さくなる.従って霧が発生しにくい.さらに,弱風であることは,海水側の境界層の鉛直混合を弱めることになり,海水の境界層では混合層が出来にくい.これらのことから霧発生の有無は海面水温が海上気温よりも低いかどうかが鍵となろう.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 50 (1), 11-21, 2012

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

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