大村湾における貧酸素水塊消滅期の海況変化

  • 須﨑 寛和
    長崎大学大学院生産科学研究科
  • 三宅 陽一
    東京大学大学院新領域創成科学研究科/東京大学大気海洋研 究所
  • 中田 英昭
    長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Change of Oceanic Conditions Leading to the Disappearance of Hypoxic Water from Omura Bay
  • オオムラワン ニ オケル ヒンサンソスイカイ ショウメツキ ノ カイキョウヘンカ

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抄録

大村湾における貧酸素水塊の消滅過程の詳細を明らかにするため,2009年の夏季から秋季にかけて集中的に実施された,水温・塩分・溶存酸素(DO)の分布に関する観測(原則として週1回)と流向流速・水温・DO の係留観測などの データ解析,並びに熱収支に関する解析を行い,消滅期の海洋構造の三次元的な変化とその要因について検討を加えた.その結果,大村湾底層の貧酸素水塊は,2009年8月下旬~9月上旬は北部~湾中央部に広く分布し,9月中旬~下旬は主に湾奥部(南東部や北東部)に分布していたことが分かった.9月上旬~中旬の貧酸素水塊の分布の変化に対する吹送流の補償流の寄与は小さく,主に湾口部の底層から流入する密度流によるものと推定された.また,貧酸素水塊の分布が変化してから,海面冷却に伴う鉛直対流により貧酸素水塊が完全に消滅するまでには,およそ1カ月の時間差があった.近年の大村湾における青潮の発生時期は9月~10月初めに集中しており,上記のように初秋に底層に生じる密度流により,貧酸素水塊が湾中央部から湾奥部に移動することが,青潮発生の前提条件になっている可能性が高いと考えられる.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 51 (1), 79-89, 2013

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

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