激甚な産業公害から過栄養,富栄養へと急激に変化した 内湾の水質に対する植物プランクトン群集の応答

書誌事項

タイトル別名
  • Phytoplankton Changes in Response to Marked Water Quality Changes in Dokai Bay, Japan, from Heavy Industrial Pollution through Extreme Eutrophication to Eutrophication
  • ゲキジン ナ サンギョウ コウガイ カラ カエイヨウ,フ エイヨウ エ ト キュウゲキ ニ ヘンカ シタ ナイワン ノ スイシツ ニ タイスル ショクブツ プランクトン グンシュウ ノ オウトウ

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抄録

将来の植物プランクトン組成を予測するためには,過去の水質環境とそれに応答した植物プランクトン組成が解明され なければならない.北九州市洞海湾は,魚影が認められないほどの著しい産業公害,これを脱却後は高濃度のアンモニアによる過栄養そして現在は富栄養と,水質改善が急速に進んだ内湾である.一方,植物プランクトン調査は栄養細胞について1980年から開始されたが,それ以前の産業公害期の植物プランクトン組成は不明であった.そこで,過去60年程度にあたる柱状堆積物を採取し,層別に休眠期細胞を発芽させて組成を調査した結果,優占種は珪藻類のSkeletonema 属で珪藻類の3属がこれに混生するなど,現在観察される栄養細胞組成と同様であった.これらの結果から,富栄養化のみでなく産業公害などのインパクトを受けた内湾環境に優占する珪藻類は,同じ属内の異なる種か,同一種であっても遺伝子構造を変化させて急激な水質変化に適応していたと考えられた.

収録刊行物

  • 沿岸海洋研究

    沿岸海洋研究 56 (2), 87-95, 2019

    日本海洋学会 沿岸海洋研究会

被引用文献 (1)*注記

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