酒造好適米水稲品種「トヨニシキ」の玄米品質に対するケイ酸質肥料施用の効果

  • 浅見 秀則
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 三浦 佑水
    株式会社一ノ蔵
  • 渡部 智寛
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 宇野 亨
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 田島 亮介
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 齋藤 雅典
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 伊藤 豊彰
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Silicate fertilizer improves grain quality in brewers’ rice (<i>Oryza sativa</i> L.) ‘Toyonishiki’
  • シュゾウ コウテキ ベイ スイトウ ヒンシュ 「 トヨニシキ 」 ノ ゲンマイ ヒンシツ ニ タイスル ケイサンシツ ヒリョウシヨウ ノ コウカ

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抄録

<p>気候変動などに伴う夏期の異常高温によって白未熟粒や胴割粒の発生が増加し,それらによる品質低下が近年問題になっている.ケイ酸は水稲の受光態勢を改善し,光合成能や根活力を向上させ,収量や品質を向上させると考えられているが,白未熟粒や胴割粒の発生に対するケイ酸の施用効果に関する知見は十分ではない.そこで,本研究では高温耐性が低い酒造好適米水稲品種「トヨニシキ」の品質に対するケイ酸質肥料の施用効果を明らかにすることを目的とした.圃場試験を行った2015年,2016年は登熟期間中の気温が平年よりも高く,穀粒品質は低下しやすい気象条件であった.ケイ酸資材の施用によって総籾数は同等もしくは増加したにも関わらず乳白粒率は対対照区比79~90%,胴割粒率は55~80%となり,いずれも発生率が有意に減少した.ケイ酸施用によって登熟期間中の水稲の出液速度は10~71%,気孔コンダクタンスは10~20%増加する傾向が認められ,高温登熟条件下での根の活性や光合成能が改善されたと考えられた.ケイ酸施用区の水稲の養分濃度はケイ酸のみ有意に増加し,水稲のケイ酸濃度と白未熟粒や胴割粒の発生率には負の相関関係が認められた.以上の結果より,酒造好適米水稲品種「トヨニシキ」に対するケイ酸の施用は胴割粒率の低減に有効であると考えられ,未熟粒率の低減にも寄与することが示唆された.</p>

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