D. ライアンの「監視」概念再考

書誌事項

タイトル別名
  • Rethinking of David Lyon’s “Surveillance Theory”
  • D.ライアンの「監視」概念再考--「監視の両義性」テーゼの成立過程とその方法的背景
  • D ライアン ノ カンシ ガイネン サイコウ カンシ ノ リョウギセイ テーゼ ノ セイリツ カテイ ト ソノ ホウホウテキ ハイケイ
  • The Formation and Methodological Background of a Notion of <i>Ambivalence of Surveillance</i>
  • 「監視の両義性」テーゼの成立過程とその方法的背景

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抄録

本論の目的は、D. ライアンの監視社会論の方法的背景を探ることである。その方法として、ライアンの「監視の両義性」テーゼに着目し、その成立過程と方法的背景を検討していく。本論であきらかとなったのは、ライアンの「監視」概念および、監視の両義性を主軸とする監視社会論が、キリスト教的な社会倫理に基づいた方法および視座から導出されているということである。以下の論述は、監視の両義性テーゼが析出される場面を見届けたうえで(2章)、そのテーゼが導出されるような方法および視座が、1980年代後半におけるかれの情報社会論においてすでに現れていたことを検証し(3章)、さらに70年代半ばから80年代前半までのライアンの初期の仕事を跡付けることによって、ライアンの倫理的・思想的背景がキリスト教的社会倫理に基づくことを確認する(4章)。最後に、そのような方法的・思想的背景を携えたライアンが、現代における社会の監視化にいかなる「解決」を与えているのか、さらにはライアンの問いをいかなるかたちで定式化することができるのかについて考察し、結論を述べる(5章)。ライアンは、これまで監視を論じるうえでさまざまな論者によって引用・言及されてきた。しかしながらかれの議論の方法的背景まで検討をくわえたものは存在しないため、上述のような観点からその思考を跡付けし、理論内在的な検討をおこなう必要があるだろう。

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