The characteristic of individual recognition ability in primatologists

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  • 霊長類研究者における個体識別能力の特徴

Abstract

<p>ヒトを含む霊長類は、他者の顔を見る経験を積むことによって、個体識別の能力が熟達化されていく。霊長類研究者は、成人後に集中的に対象個体を観察することで、対象となる種の個体識別ができるようになる。本研究では、ヒトやニホンザルの個体識別実験を行い、識別実験中の注視部位を調べることによって、霊長類研究者が用いている個体識別の特徴を明らかにすることを目的とした。ニホンザルを延べ30頭以上識別することのできる霊長類研究者16人と、霊長類研究者と比較するための19歳以上の21名を対象とした。実験参加者には、まず斜めを向いた顔画像を提示した。その後、2つの正面顔を提示し、いずれの顔が、先に提示された斜め顔と同一個体のものかを回答してもらった。ヒトの顔とニホンザルの顔に関して、合計40試行の実験を行った。結果、霊長類研究者は、統制群に比べて、ニホンザルの顔をより正確に識別していた。他方で、ヒトの顔画像に関しては、2群間に有意な違いは見られなかった。また、顔の注視部位に関しては、霊長類研究者と統制群の間に明らかな違いは見られなかった。続いて、霊長類研究者が、どの程度顔以外の部位を用いて識別しているかを検討するために、ニホンザルの全身が映った画像と、その全身画像から顔だけを残した画像を用いて、上記の実験と同様にして計30試行の識別実験を行った。すると、霊長類研究者は、顔だけの条件よりも、体全体を提示されたほうが、識別成績が高くなっていた。また、注視部位を分析すると、霊長類研究者は、統制群とは異なり、全身画像が提示されると、顔以外の部位を見ることが増えていた。以上の結果から、霊長類研究者は、ニホンザルについて、統制群よりも高い顔の識別能力を持っているが、顔だけの手がかりから十分な識別を行っているわけではなく、顔以外の部位の情報を用いて個体識別していることが示唆された。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390283659861332224
  • NII Article ID
    130007813517
  • DOI
    10.14907/primate.35.0_58_2
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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