Fecal metabolites analysis on Japanese macaques in Yakushima

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  • LC/MS/MSによる屋久島ニホンザル糞便中の代謝物測定

Abstract

<p>次世代シーケンサーを用いた野生動物糞便細菌の網羅解析が盛んに行われている。宿主の生活を反映した細菌叢構成の差異を検出することができるようになったものの,解析対象が「PCR増幅された16S rRNA遺伝子の部分配列に基づく不十分な系統情報」にすぎないため,宿主の生理状態に直接影響する腸内環境を知ることはできない。近年,分子量データーベースの充実からHPLCやCEと質量分析を組み合わせた化合物の網羅解析が発達し,腸内細菌叢が産生する代謝物を網羅的に解析することが可能となった。これを一般にメタボローム解析と呼ぶが,野生動物の生理研究や生態研究における本解析手法の有用性を報告する。屋久島西部林道上の2地域(川原と鹿見橋)で,群れを異にするニホンザル計5頭の糞便を採取した。2検体を除き排泄直後に採取し,全量をドライアイス上で直ちに凍結した。1検体は,前日の排泄糞で発見後直ちに凍結した。もう1検体は,2分割してそれぞれ排泄直後と1時間放置後に凍結した。解凍後,Matsumotoら(Sci Rep 2: 233)の方法で前処理し測定試料とした。LCMS-8060(島津製作所)にPFPPカラムを装着し,0.1%ギ酸水溶液と0.1%ギ酸アセトニトリル溶液を移動相としてイオンペアフリー条件のグラジエント分析を行った。遊離アミノ酸のほか,ヌクレオチド, ヌクレオシド、核酸塩基などの核酸代謝物,TCA回路に関わる有機酸等全体で63成分が検出された。PCA解析を行うと,川原の古い糞,川原の新鮮糞,鹿見橋新鮮糞の3つにクラスターが分離した。前日由来の糞の水溶性成分は変化していたが,新鮮糞の水溶性成分については1時間放置の影響はなかった。鹿見橋周辺の群れから採取した糞は川原で採取した糞よりも必須アミノ酸が少なく,逆に核酸代謝産物濃度が高い傾向が見られた。</p>

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390283659861418368
  • NII Article ID
    130007813557
  • DOI
    10.14907/primate.35.0_63_1
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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