中華人民共和国の安全衛生に関するリスクマネジメントの制度と実態

  • 伊藤 直人
    産業医科大学産業医実務研修センター
  • 平岡 晃
    株式会社小松製作所 産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学
  • 梶木 繁之
    産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学 株式会社産業保健コンサルティングアルク
  • 小林 祐一
    産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学 HOYA株式会社
  • 上原 正道
    ブラザー工業株式会社
  • 中西 成元
    株式会社小松製作所 国家公務員共済組合連合会シミュレーション・ラボセンター
  • 森 晃爾
    産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学

書誌事項

タイトル別名
  • Systems and actual practices of occupational safety and health risk management in the People’s Republic of China
  • チュウカ ジンミン キョウワコク ノ アンゼン エイセイ ニ カンスル リスクマネジメント ノ セイド ト ジッタイ

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抄録

<p>目的:中国の安全衛生に関するリスクマネジメントの制度と実態を明らかにする.方法:学術情報の検索エンジンを用いた文献検索と,インターネットによる一般情報検索を行った.その後,現地の公衆衛生大学院,健康診断や作業環境測定などを実施している職業衛生技術サービス機関,日系企業の現地事業場を訪問し,得られた情報を,法体系,専門人材,作業環境測定,健康診断,職業病,職業衛生技術サービス機関ごとに整理した.結果:安全生産法や職業病予防治療法などにより,安全衛生に関する事項が定められていた.安全管理者や衛生管理者の制度は存在していたが,産業医や産業保健看護職の制度はなく,企業に医療職の選任義務はない.一般健康診断は法令で定められていないが,特殊健康診断や作業環境測定は,企業外の職業衛生技術サービス機関での実施と判定が事業者に義務付けられていた.職業病は増加傾向であり,その約80%がじん肺であった.職業衛生技術サービス機関は,専門スタッフを雇用し,政府からの認定がなければ,健康診断等のサービス提供ができなかった.考察・結論:衛生や健康の専門知識について,企業内部と外部機関との格差が大きいことが特徴であり,企業の安全衛生活動が形骸化しやすいなどの問題が発生しやすい.そのため,事業場における公衆衛生医師の活用や,中国の安全衛生に関するリスクマネジメント制度を理解した日本の専門家による支援が重要である.</p>

収録刊行物

  • 産業衛生学雑誌

    産業衛生学雑誌 62 (2), 72-82, 2020-03-20

    公益社団法人 日本産業衛生学会

参考文献 (3)*注記

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