日本海東縁における堆積物コアからのイカアイトの発見とその意義

  • 角和 善隆
    明治大学研究・知財戦略機構ガスハイドレート研究所
  • Zhang Naizhong
    明治大学研究・知財戦略機構ガスハイドレート研究所 鳥取大学大学院工学研究科メタンハイドレート科学講座
  • 松本 良
    明治大学研究・知財戦略機構ガスハイドレート研究所
  • 戸丸 仁
    現在:東京工業大学
  • 石田 直人
    千葉大学大学院理学研究院地球科学研究部門
  • 茂手木 竜也
    千葉大学大学院理学研究院地球科学研究部門 現在:深田サルベージ建設株式会社

書誌事項

タイトル別名
  • The discovery of ikaite from sediment cores in the eastern margin of the Japan Sea and its significance
  • ニホンカイ トウエン ニ オケル タイセキブツ コア カラ ノ イカアイト ノ ハッケン ト ソノ イギ

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抄録

<p>低温で安定な炭酸塩鉱物であるイカアイトが,日本海東縁部で採取した堆積物コアから発見された.イカアイトを伴う堆積物は,シルトか砂の葉理を伴う暗色の泥からなり,生痕があるか無構造である.粒状の集合体が脈となっている場合と,最大10cmを越える長さの大型の結晶をなす場合がある.イカアイトは現在の海底面下10mより浅い部分で発見されているが,間隙水の分析から,硫酸塩・メタン漸移帯(SMT)の内部,多分2mから5m程度の深さで形成されたと考えるのが妥当である.イカアイトの炭素同位体比の分析値からは,微生物によるメタン酸化に起源をもつ軽い炭素の影響が,今回発見されたイカアイトにあったことを示唆し,SMT内で形成されたことと矛盾しない.イカアイトの最新の形成年代は9,700年前以降である.大型結晶のイカアイトは,メタン流量が増大するか,70m程度埋没することで地温が上昇して不安定となり,方解石に交代され,玄能石になるだろう.</p>

収録刊行物

  • 地質学雑誌

    地質学雑誌 125 (12), 853-865, 2019-12-15

    一般社団法人 日本地質学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (52)*注記

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