嚥下障害のスクリーニングテストの比較研究

  • 松尾 貴央
    関西福祉科学大学医療保健学部リハビリテーション学科言語聴覚学専攻 徳島大学大学院口腔科学教育部口腔保健学専攻
  • 松山 美和
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健学講座口腔機能管理学分野
  • 渡辺 朱理
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健学講座口腔機能管理学分野
  • 中谷 謙
    関西福祉科学大学医療保健学部リハビリテーション学科言語聴覚学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • The Comparative Study of Dysphagia Screening Tests
  • エンカ ショウガイ ノ スクリーニングテスト ノ ヒカク ケンキュウ

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抄録

<p>【目的】本研究では,嚥下スクリーニングテストの包括的な評価方法の有用性を検討した.</p><p>【方法】嚥下障害者3 例に対して,嚥下スクリーニングとして単一の項目で標準化されたテストである RSST とMWST,および包括的評価を行うStandardized Swallowing Assessment(以下,SSA)とThe Toronto Bedside Swallowing Screening Test(以下,TOR-BSST)の4つのテストを用いた評価場面をビデオ撮影し,独自に教則ビデオを作成した.その後,言語聴覚士65名(平均臨床経験年数5.2±3.6 年)を対象に,作成した教則ビデオを視聴させた後,アンケート調査を実施した.アンケートの質問は10 項目で,嚥下障害のスクリーニングテストにおける ① 簡便性,② 嚥下障害における問題の所在の確認と推測,③安全性,④ 重症度の判定,⑤ 食事形態の決定への活用,⑥ 嚥下訓練につながるアセスメントの可否,⑦嚥下訓練の効果判定,⑧ 嚥下機能の経時的変化,⑨ 嚥下障害の検出力,⑩ 総合的な使い勝手,についての ① から ⑩ 項目で構成され,各質問を「思わない」から「そう思う」までの5 件法で尋ねた.解析方法はKruskal-Wallis 検定を用いて,有意水準5% 未満として検討した.</p><p>【結果】単一項目で行う評価方法と包括的に行う評価方法との比較では,今回使用したアンケート調査の10 項目中7 項目( ②,④,⑤,⑥,⑦,⑧,⑨)において,包括的評価方法の有用性が支持された.</p><p>【結論】術者の主観的な評価として,今回調査した4 つすべての嚥下スクリーニングテストは総合的に使い勝手がよいと判断され,さらにSSAやTOR-BSSTで用いられる包括的な評価方法は,嚥下障害の問題の所在の確認および推測,嚥下障害の重症度の判定,食事形態の決定への活用,嚥下訓練につながるアセスメントの可否,嚥下訓練の効果判定,嚥下機能の経時的変化を捉えていくことへの活用,嚥下障害の検出力において,RSST やMWST を単一項目で評価する場合よりも有用であることが示唆された.</p>

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