西川林業地における木材取引情報の非対称性の把握

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タイトル別名
  • Study on the Asymmetry of Information on Timber Transactions in the Nishikawa Forestry Area
  • ニシカワ リンギョウチ ニ オケル モクザイ トリヒキ ジョウホウ ノ ヒタイショウセイ ノ ハアク

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説明

本研究では,製材用国産材素材の流通を構成する経済主体の取引情報に着目し,経済主体が保有及び必要とする情報の把握を行うと共に,取引情報の非対称性部分を明らかにすることを目的とした。調査地は関東有数の林業地であり,一流域において各段階の経済主体が存在する西川林業地とし,各経済主体での取引情報について聞き取り調査を行った。その結果,当地においては,森林所有者と素材生産者において立木の生産や品質管理情報が把握される一方で,素材生産者の生産や工程管理に関する情報が買い手に不足し,製材工場やプレカット工場の流域材を使用した安定的な製品の生産を妨げていた。プレカット工場において流域材を使用した製品の販売が伸びる中,製材工場と素材生産者及び森林所有者とが直接的な取引を行っていない。直接的な取引が行われない理由として,域内の事業者同士による直接的な価格交渉を行うことへの抵抗感が挙げられた。従来型の木材流通において原木市売市場はその情報集約と長期的な取引に基づく信頼を有す。原木市売市場がこれまでの機能とは異なる形で需給の調整役を担うことにより,情報の非対称性に係る問題が解消される可能性がある。

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