他院整形外科より鍼治療の依頼があった腰部脊柱管狭窄症の一症例

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  • 他院整形外科より鍼治療の依頼があった腰部脊柱管狭窄症の一症例 : JOABPEQを用いた検討
  • タ イン セイケイ ゲカ ヨリ シンチリョウ ノ イライ ガ アッタ ヨウブ セキチュウカン キョウサクショウ ノ イチ ショウレイ : JOABPEQ オ モチイタ ケントウ
  • - JOABPEQを用いた検討 -

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説明

【緒言】腰痛や腰下肢痛に対する評価法は数多いが、本邦整形外科の領域においてはJOABPEQが広く用いられている。筆者らはすでに非特異的腰痛に対する鍼治療効果をRDQやSF-36、JOABPEQを用い鍼治療の有効性について分析した。そこで今回は腰下肢痛を主訴に他院整形外科より鍼治療依頼があった腰部脊柱管狭窄症(LSS)の患者にJOABPEQを用いてその効果を評価し、専門診療科との連携についても考察した。 【症例】80歳、女性。主訴: 右腰下肢痛(下腿外側~足背)。現病歴: X-5年に右腰下肢痛が出現。他院整形外科受診しLSSと診断され湿布、運動療法等で症状は緩解。その後良好に経過していたが、X年8月より右腰下肢痛が出現し同整形外科受診し同様にLSSを指摘され、NSAIDs等処方されたが期待すべき効果が得られず、症状改善を目的に同整形外科より当科紹介受診。初診時現症: 身長151㎝、体重57㎏。下肢神経学的所見: 右母趾背屈筋力4/5、他正常。体幹運動時痛: 左回旋・後斜屈時 右殿部痛。右大殿筋・中殿筋の緊張と圧痛。SLR、FNS、Kemp徴候(-)。腰部MRI: L3, 4椎体前方すべり症、L2/3~L5/S1の脊柱管狭窄に右L4/5椎間板ヘルニア(LDH)の合併。鍼治療方法: 下肢の痛覚閾値上昇と殿部筋群の過緊張緩和を目的に右L5/S1直側、大殿筋、中殿筋、殷門、陽陵泉、崑崙に置鍼10分、週1回の頻度。評価法: JOABPEQとVASで治療開始前、治療開始1, 3カ月後。 【結果】JOABPEQは疼痛関連障害43→100、腰椎機能障害75→83、歩行機能障害43→86、社会生活障害59→86、心理的障害42→66と5項目中4項目で20点以上改善した。VASは腰痛46㎜→0㎜、下肢痛46㎜→13㎜と低下した。 【考察・結語】本症例は臨床症状及び画像所見よりLSSの神経根型にLDHが合併したものである。鍼治療により疼痛の改善と共にJOABPEQの向上も示された。以上より、JOABPEQは腰痛のみならず腰下肢痛に対する鍼治療の評価法としても有用性の高い可能性が示された。また、整形外科領域で用いられている評価法を活用することは医療連携を推進するための一助になるものと考える。

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