経腸栄養における食物繊維の役割について

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  • ランチョンセミナー 経腸栄養における食物繊維の役割について
  • ランチョンセミナー ケイ チョウ エイヨウ ニ オケル ショクモツ センイ ノ ヤクワリ ニ ツイテ

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抄録

食物繊維は、難消化性炭水化物であり多糖類に属する。臨床では、水分保持作用と増粘作用を利用した便性の改善、胃食道逆流症、ダンピング症候群などの改善に用いられることが多い。近年の研究から、上記以外にも様々な作用が明らかになっている。食物繊維は腸内細菌の発酵により短鎖脂肪酸を生じることでエネルギーを産生する。発酵分解率により、0, 1, 2 kcal/gのいずれかのエネルギー推算値をとる。食物繊維から生じる短鎖脂肪酸は、主に酢酸、プロピオン酸、酪酸の3種類であり大腸上皮細胞のエネルギー基質となり粘膜増殖促進作用を示す。その他、骨格筋などの末梢組織へのエネルギー供給、大腸炎の抑制作用、GLP-1を介した糖代謝の改善、GLP-2を介した小腸粘膜上皮細胞の増殖促進作用が確認されている。経腸栄養のみが用いられている重症心身障害児者では、食物繊維が十分に投与できていない場合もあるため、腸管の状態を保全する観点からも配合されている食物繊維の量と質を確認し、積極的に活用すべき栄養素ではあると考えられる。

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