大学生における慢性疼痛に 失感情症と被養育体験が及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effects of alexithymia and rearing experiences on chronic pain in university students
  • ダイガクセイ ニ オケル マンセイ トウツウ ニ シツカンジョウショウ ト ヒヨウイク タイケン ガ オヨボス エイキョウ

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抄録

被養育体験を終えて間もない時期における大学生の失感情症、被養育体験、慢性疼痛との関係性を調査するため に、慢性疼痛の有無とその部位、失感情症を表す心理指標であるToronto Alexithymia Scale-20(TAS-20)、両親の養育態度 を表すParental Bonding Instrument(PBI)の質問紙調査をおこなった。その結果、6ヵ月以上疼痛が持続する慢性疼痛の有訴 率は、435人中125人で28.7%であった。慢性疼痛部位は、最多が腰痛、2番目が頸部痛、3番目が下肢痛であった。慢性疼痛 保有群と慢性疼痛非保有群とを比較したところ、慢性疼痛保有群でTAS-20の総得点が有意に高かった。PBIについては、慢性 疼痛保有群と慢性疼痛非保有群との間に有意な得点差は認められなかった。失感情症の3つの下位尺度である感情同定困難、感 情伝達困難、外的志向が高まると被養育体験の父・母ケア因子が低くなり父・母過干渉因子が高くなる有意な相関関係が認めら れた。慢性疼痛の有無を目的変数に、年齢、性別、TAS-20の下位尺度である感情同定困難、感情伝達困難、外的志向、PBI の下位尺度である父ケア因子、父過干渉因子、母ケア因子、母過干渉因子の9つを説明変数とする多重ロジスティック回帰分析の 結果、TAS-20の下位尺度である感情同定困難が慢性疼痛に有意に関連していた。青年期から慢性疼痛を有する人に対し失感情 症傾向を評価し早期発見する重要性が示唆された。失感情症傾向がある人には、養育経験にも配慮し、早期のうちに自分の未分 化な感情をラベリングし言語化表現できるように訓練すれば慢性疼痛の予防につながるかもしれない。

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