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- 荒木 幸仁
- 防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座
書誌事項
- タイトル別名
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- 第120回日本耳鼻咽喉科学会総会シンポジウム ロボットおよび経口的頭頸部腫瘍手術の現状と展望 内視鏡下経口的咽喉頭部分切除術(transoral videolaryngoscopic surgery : TOVS)の現状と展望
- ダイ120カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ シンポジウム ロボット オヨビ ケイコウテキ トウケイブ シュヨウ シュジュツ ノ ゲンジョウ ト テンボウ ナイシキョウ カ ケイコウテキ インコウトウ ブブン セツジョジュツ(transoral videolaryngoscopic surgery : TOVS)ノ ゲンジョウ ト テンボウ
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説明
<p> 咽喉頭癌に対する経口的手術は, 腫瘍制御と機能温存を両立した低侵襲手術として近年普及しつつある. 頭頸部癌診療ガイドラインにおいても, 中咽頭, 下咽頭, 喉頭の早期癌への治療選択肢の一つとなっている. 内視鏡下経口的咽喉頭部分切除術 (TOVS) は拡張型喉頭鏡, 硬性咽喉頭内視鏡, 腹腔鏡用鉗子を用いた経口的手術環境である. 一塊切除を基本とし, 気管切開も行わず, 低侵襲かつ腫瘍制御の面からも理想的な術式である.</p><p></p><p> 適応は中咽頭癌, 下咽頭癌, 声門上癌の Tis-T2, 一部の T3 で, 舌骨・甲状軟骨・輪状軟骨浸潤, 声帯固定, 深部浸潤, 広範囲浸潤症例は適応外である. 放射線治療後救済例は, rT1-2 の一部症例に限定している. リンパ節転移は切除可能であれば適応とし, 頸部郭清術を併施している. 適応決定においては, 年齢や放射線照射歴, 併存症, 術前嚥下機能などの全身状態を考慮した総合的な判断が必要である.</p><p></p><p> 当科治療成績は, 粗生存率: 80.6%, 疾患特異的生存率: 88.4%, 局所制御率: 90.4%, 喉頭温存率: 94.8%で, 7割で術後放射線治療は行っていない. 合併症として皮下気腫: 3.6%, 術後出血: 3.2%, 気道浮腫: 2.7%, 緊急気管切開: 2.3%などを認めた. 嚥下機能はほとんどの症例では良好であり, 重度障害は2.4%のみである. また創部癒着による音声障害を約3割に認める. 特に放射線照射後症例では合併症に十分な注意が必要である.</p><p></p><p> 今後の展望として, 機器の発達による手技の安定や, さらなる国内外での普及が期待される. また導入化学療法による適応拡大の可能性や, 経口的手術の標準化を目指した全国登録システムによる国内の現状についての研究が予定されており, 新たなエビデンスの構築が期待される.</p>
収録刊行物
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- 日本耳鼻咽喉科学会会報
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日本耳鼻咽喉科学会会報 123 (6), 435-442, 2020-06-20
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390285300171607552
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- NII論文ID
- 130007868085
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- NII書誌ID
- AN00191551
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- ISSN
- 18830854
- 00306622
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- NDL書誌ID
- 030525449
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
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- 使用不可