方法としてのレジデント型研究

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タイトル別名
  • Residential Research as a Methodology
  • ホウホウ ト シテ ノ レジデントガタ ケンキュウ

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抄録

「何のための研究か?」というフィールドで出会う人びとからの問いに応えうる一つの研究方法として,地域社会に定住する科学者・研究者であると同時に,地域社会の主体の一員でもあるという立場から,地域の実情に合った問題解決型の研究を推進するレジデント型研究がある。それは研究者と地域住民の一員といった複数の立場の往復作業を通じて,地域のリソースとなりうる知識の生産と社会実践を再帰的に試みる方法である。本稿では,レジデント型研究の方法としての可能性を検討するため,兵庫県豊岡市周辺において進展している絶滅危惧種コウノトリの野生復帰プロジェクトに参加してきた筆者自身の研究を取り上げ,フィールドの人びとの問いに応える中で形成してきた協働する再帰的な研究方法を検討した。その結果,レジデント型研究の方法論的な特徴として第1に研究成果が社会のなかで評価をうけること,第2に研究者と地域住民といった複数の立場を往復すること,第3に再帰的な当事者性を有すること,第4に循環的な方法を有すること,第5に共感的な理解を試みること,第6に漸近線的接近という6つを導き出した。

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