トドマツノキクイムシの母坑内における一夫二妻制

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Polygyny in the bark beetle <i>Polygraphus proximus </i>

抄録

<p>トドマツノキクイムシ(以下、トドキクイ)は、北海道~九州、朝鮮半島、シベリアにおいて、モミ属を加害する樹皮下キクイムシである。近年、シベリアモミ天然林において被害が拡大している。これまでトドキクイの坑道内性比は、坑道の形状から、一夫多妻と考えられてきた。しかし近年、シベリアモミにおける室内実験で、一夫一妻であると報告された。また、日本に生息する5種のモミ属における坑道内性比は明らかになっていない。そこで、野外におけるトドキクイの坑道内性比を明らかにするために、2019年5月、本州に自生するモミ属4種(モミ、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソ)の丸太を本州中部山岳地域に、北海道に自生するモミ属1種(トドマツ)の丸太を北海道に設置した。同年7月に樹皮を剥ぎ、坑道内の雌雄を計数した。全297個の坑道のうち、2頭以上の雄がいる坑道は存在せず、雌が1頭存在した坑道は212個、2頭存在した坑道は6個であった。このことから、坑道内における一夫多妻制の頻度はとても低い(2.0%)ことが明らかになった。また、雌雄片方もしくは両方とも存在しない坑道があったことから、成虫が坑道から脱出して再寄生する可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390285300178260096
  • NII論文ID
    130007880529
  • DOI
    10.11519/jfsc.131.0_194
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ